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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

992.眠る場所


 レイブは心の中で嫌な想像をしてしまうのである。

――――こう言う流れって絶対魔術師として覚醒出来ない感じなんじゃないのぉ? ん、でも…… まあ、ズィナミ・ヴァーズ様直々じきじきの魔解施術かぁ…… 当代一番の魔術師、バストロ師匠の妹弟子にして現鬼王手ずからの技とかぁ…… チョット見てみたいかもぉ…… んじゃ、取り敢えず良しとして置こうかなぁ……

 そう思った瞬間言葉にしてしまったレイブである。

「そうですね、そうしましょうか!」

「レイブもソレで良いってさ! 良かったねラマス、魔術師になれなくてもレイブがずっとアンタの面倒を見てくれるってよぉ!」

 即座に答えたラマスの頬は朱色に染められていた。

「は、はい…… えっとぉ、不束ふつつかな娘ですが末永く可愛がってくださいませぇ、えへへ」

「えっ? えええっ? な、なにぃ、何でそうなるんだいいぃぃー!」

「ふふふ、レイブったら照れてるのねぇ♪」

「てへへ、旦那様ぁ~♪」

 焦り捲ってガタガタしているレイブである。
 兎にも角にも、明朝に行われるであろうズィナミ・ヴァーズ、学院長である鬼王自らによる魔解施術を待つ為に、この夕方の話し合い、語り合いはここで一先ひとまず終了となるのであった。

 翌朝、ズィナミ・ヴァーズが施した魔解施術は案の定、ラマスに魔術師としての道を開く事は出来なかったのである。
 がっくりと肩を落としたキャス・パリーグとズィナミ・ヴァーズの横で、そりゃそうだろうなぁ、んなふうに感じていたレイブに対して、キャス・パリーグから掛けられた言葉は慮外過ぎる物であった。

「残念だったわね、ラマス…… んじゃ、レイブ、この娘ラマスの寝る場所の準備をして頂戴な、あんた等が住んでる小屋ってまだまだ余裕があったでしょう? 早く頼むわね」

「はっ?」

 学院長であるズィナミ・ヴァーズが説明的に続ける。

「アナタだって判っているでしょう? ここは、魔術師修練所、なのよ? 魔術師になれない者に住む場所は無いのです! んだからね、アナタが暮らしている小屋でこの娘を引き取って貰わなければならないのですよ、判りますよね?」

 キャスも同意見だったようである。

「そうですよレイブ! これからはアナタが責任を持ってこの娘、ラマスに対してえっとぉ、何だっけか? あ、ああ、そうそう! スキルを生やしてあげられるまで面倒を見なければいけないのですからっ! 頑張ってね! そう言う事ですっ! ね? 学院長?」

「ええ、そうですよ、そう言う事です、判りましたねレイブッ!」

「は、はぁ……」

 どうやらレイブの気持ちや思いなんかどうでも良くて、そう言う事、だったらしい……
 察しだけは良いレイブは、仕方なくラマスに手を差し出して言うのであった。

「んじゃあ行こうかラマス、先に言って置くけど僕達が暮らしている小屋って酷く質素だからね? 覚悟しておいてよ?」

 ラマス、未だ十二歳の行く宛を持たない娘は満面の笑顔で答える。

「は、はいっ! どこへでも付いて行きます! 叔父様、連れ去ってくださいませぇっ!」

 それからしばしの間を置いて、レイブとギレスラ、ペトラが暮らしていた小屋に辿り着いた彼女、オレンジ掛かったピンクの髪をベリーショートに切り揃えた可愛らしい女の子の口から漏れた言葉はこうである。

「き、汚ぁ~っ! 叔父様? ここに住んでいるんですか? ま、マジでぇ~っ! 汚っ、汚いぃっ!」

 ふうぅ……



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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