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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1364.ストラクチャー


 他の魔獣と比して、効果の高さと即効性に定評のあるペトラのスキルは、間を置かずにレイブの意識を取り戻させた。

 肉体の損傷や痛みは勿論、ストレス等に因る精神的な病根まで治療できる秀逸なケアを受けたと言うのに、当のレイブは目を見開いたまま忙しなく眼球を動かしてプルプルと震え続けながら、両手で自分の肩を抱き続けている。
 まるで猛獣に蹂躙されるのを待つ小動物みたいだ。

 何も無い自分の顔先辺りに視界の焦点を合わせたままの掠れ声はこうである。

「…………な、……何で?」

『ふぉふぉふぉふぉ』

 弱々しく発せられた声に答えたのは無神経なダソス・ダロスの笑い声である。

「ちょっとダソス・ダロス、何か知っているんじゃないの?」

 横目でチラチラしながら確認するガトの声を聞いたダソス・ダロスは笑顔のままで話し始める。

『レイブの兄貴がコインの所持者になったんだよ! 最初にナガチカ様が、ジロー様、ユイ様、歴代の森王達も誰一人認められなかった、勿論、この私自身も成し得なかった偉業を達成したのだ! 流石は私の兄貴だぜ、やったぜベイビー!』

 レイブはまだショックから復活できずに呆然としながら返す。

「え…… でも、山頂の神殿で手にした時は何にも起きなかったんだぞ…… なあ、ギレスラ?」

『そうなのだ、レイブの前に我も触ってしまったがノーダメだったのだ』

『そうなのね、それが今更吸収されるなんて…… しかして時限性のドッキリ的な? まさかね』

 この会話にはなにやら事情通らしいダソス・ダロスもいぶかしげな声だ。

『む? そうなのですか? そりゃ不思議ですねー? 『森王』に就任して初めて金属板を動かした時に受け取ったメッセージではそんな事一切触れられていなかったんだけどなー? 古代の魔獣神様が認める程の魂を見つければ自動的に起動する筈なんだがなー?』

『魂? って! アレじゃないのっ! アタシ達の中にあるアスタさんの魔核? アレって三分割されているじゃない? それが原因、だったり?』

 ペトラの予測にギレスラは頷きながら答える。

『なるほどな…… 今しがたは我々が密着していたから、か…… 可能性は有りそうだ』

『ほー、なるほどですねー』

 ダソス・ダロスもこの説に異論は無いようだ。
 まあそうか、魂的にはスリーマンセルそれぞれを合わせた三つより、そこに同居しているアスタロトの三分の一づつの方が主と見做されている訳なんだな、そりゃそうか一応魔神だしな。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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