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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1288.ガトの場合


 ハタンガで魔力災害に遭遇したガトは自分の中の声に従って東に向かって駆けたと言う。
 彼女の中にはレイブ達と同様に悪魔、それも魔神サタナキアが存在していた。
 ガトはその時初めてその存在に気が付いたが、不思議と恐怖や不信感は感じなかったらしい。
 ハタンガのほとんどのニンゲンが生まれながらに持っていたスキル、ロードランナーを使ってどこまでも走り続けたそうだ。

 ここまではレイブが南に向かって逃げた件と酷似している。
 違っていたのはレイブと違って彼女が魔力の波動から逃げ果せた点だろう。

 レイブ自身の経験と照らし合わせながらのペトラの説明は判り易かったらしく、ここまで聞いたレイブは誰にとも無い呟きを洩らす。

「そうか、俺は石化しかけたお蔭でバストロ師匠やジグエラ、ヴノに会えたし、そのあとこいつ等とも出会う事が出来たが…… かえって幸せだったのかもな…… それで、ガトはそれから独りきりで彷徨ってたって訳か……」

「ううん、立ち止まって直ぐね、後ろから付いて来ていた悪魔たちに声を掛けられてさ」

 ガトの言葉にレイブは目を剥いて問い返す。

「悪魔? 悪魔って神様たちの事だろ?」

 ガトは手にした木の葉を鼻の前で回しながら気楽な感じで答える。

「そうよ、それで皆に住処まで連れて行かれたの、少し前までそこで暮らして居たって訳」

「ほ、ほおー、悪魔たちの住処、ね…… それで?」

 ガトが続けた話によると、後を追って来ていたのはサタナキアの配下の悪魔だったらしい。
 かつて有力な悪魔達が天空に旅立った際、力不足やその他の理由で地上や地下、魔界に残った悪魔達が数十柱、ガトの身を案じて姿を現し、その後も率先して彼女の世話を努めてくれていたという。

 その後、十年以上に渡って悪魔達と過ごしてきたと語ったガトの表情に、少しかげりの様なものが浮かぶのをレイブは見逃さなかった。

――――元々が配下だったとは言え悪魔だもんな…… ニンゲンに囲まれて生きるのとはそりゃ勝手が違うのも当たり前か…… だよな、アスタさんなんかもやっぱ普通とは違ったもんな…… テューポーンさんに至っては最近バッタだしなぁ、ここは当たり障り無い感じで話しを濁して置こう、うん、そうしよう!

『ニンゲンが悪魔達の中で生きるのだ、当然、言葉に出来ない苦労もあったのだろうな~、悪魔の住処と言うのがどんな所かは知らないが、やはり生態が違い過ぎるからな、さぞや辛かった事だろう』

 台無し。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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