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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1240.扇の要、復活


 笑顔を浮かべ両手に数十匹の芋虫を抱えたギレスラは、無邪気な質問をする。

『クアッ、珍しい鱗もあるじゃないか、何の鱗だこれ? そっちは軽薄な赤だしこっちは生臭い匂いだな? なあ一体どんな生き物の鱗なんだよ』

 そろって驚いた後、安堵を浮かべて笑顔になりかけたレイブとペトラは、この問いに対して再びピタリと揃った行動を取った。
 気まずそうな表情で俯き気味に顔を伏せたのである。

 どうしたんだろう?
 ついさっきまで激論を交わしていた通り、それぞれ自分の近くにある方がギレスラだと主張すれば良いだけなのに? 不可解だ(にやり)

 しばらくは下を向いたまま互いに横目でチラチラやっていたが、諦めたのかレイブがモゾモゾしながらいつに無く小さな声で話しだす。

「えっと…… そっちの生臭い鱗と肉がギレスラと同じ匂いだって、ペトラが」

『ず、ずるいわよ! 聞いてギレスラお兄ちゃん! レイブお兄ちゃんこそあっちの軽薄な鱗の色がギレスラそっくりだぜ、げへへへ! とか言っていたのよ!』

「ちょっ、そこまで言って無いだろうが! 俺は只、えっと、綺麗な赤はギレスラみたいだ、ん? みたいかな? ギレスラはもっと上品だから全然違うけどな! 的な事を言ったんだと思うけどな!」

『あ、アタシだって! ええっとぉ、生臭くて、そのぉ、えっと…… ギレスラお兄ちゃんくらいいい出汁がとれそうね? って違う違うっ! 生臭くて良い匂いよねって言ったのよ! ねっ、ギレスラお兄ちゃん、食べるでしょ? この豊潤な香りの生臭いお肉!』

『んー? にしてもコリャ何の肉だよ、判らんのかレイブ?』

「つい今しがたまではそれぞれ確信を持って居たんだけどな、今となっては皆目見当が付かんのだよ、な、ペトラ」

『ええ、禿同はげどうだわ』

 ペトラの言葉、先祖返りが酷いが言わんとしている事、同時に隠したいと思っている内容的には非常に判りやすい用法である。
 ギレスラもそれを感じ取ったものか、それ以上は質問を重ねる事はせず、自らの手に取った鱗を眺めたり臭ったりし、やや置いてから口を開く。

『なるほどな、ペトラの言う生臭い鱗の方はアユカケ、だな、別名はカマキリ、しくはアラレウオってやつだろう、判りやすく言えば魚、条鰭類じょうきるいだよ』

 ペトラは目を剥き出して問い返す。

『ジョウキ類? 魚だったの?』

『ああ、お前の好きな目で言えばカジカの仲間、スズキ目の回遊魚だな』

『そう…… スズキ目なのか…… ありがとね、覚えて置くわ』

「あ、アユカケ? 魚か…… 道理で生臭かった訳だ」



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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