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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1311.オロスとして


 この伝説、いいや事実を聞かされて育った私と兄弟達には、独特な感情が形成されていった。
 大いなる力や知識を有した者だけが自覚する責任感、つまりノブレスオブリージュである。
 王族としての責務を果たす為に、更に大きな体を持ち、様々な知識や技術を習得し、いつか蒙昧もうまい愚鈍ぐどんな生き者達を救ってやる為に、極東ニンゲンと力を合わせる、それが我々の目標となったのである。

 私が産まれた時代では、世界は随分小さくなってしまっていた。
 かつては地に溢れ、隆盛を誇り捲っていた『てくのろじぃ』も失われて久しい。
 だが、賢い極東ニンゲンの技術と崇高な精神は生き残っている。
 魔術を駆使して無力な民を救い続けている魔術師がその担い手である。

 凶暴なモンスターが跋扈ばっこする荒野や岩山を住処として、魔力災害に怯える同胞に救いの手を差し伸べる彼等の傍らには、巨大な魔獣がパートナーとして付き従っていると聞いた。
 まあ、空を飛ぶドラゴンも一緒にいる事はいるらしいが、そっちはおそらくオマケ的な存在、しくは良くて乗り物代わりか荷物持ちと言った所だろう。
 賢明な極東ニンゲンの後継者と同レベルでいられるとしたら魔獣、それも我々ブタしか考えられないのだ。

 因みにだが、魔術師達は我々の事をボア、又は豚猪と呼んでいるらしい。
 豚猪とはブタとイノシシの意だと言う。
 遥か古代には逆の順番でイノブタ等とも呼ばれていたと聞くが、どこかの時代で入れ替わってしまったようだ。
 多分、魔術師の業界用語? 的な変化だと私は推測をしている。

 兎に角、色々な事を学び憶えた私は、この豚猪を目指したのである。
 無論、兄弟達も同じ目標を持って王族の務めを果たそうと努力を始めたのだが、この辺りの辛酸については、口や筆で表現出来る物とは言えないので割愛しておこう…… 艱難辛苦かんなんしんく、そうとだけ伝えておこう。

 これは決して大袈裟ではなく、事実、鍛錬の日々の中で、私の兄弟達は全て命を落としているのだ。
 体を一気に大きくしようと考えた兄達は、そこらに落ちている物等を片っ端から口に入れ、腹を下した結果、返らぬブタとなった。
 弟達も同じ理由で魔力災害の只中に盲進、いや猛進し、勇猛果敢な爆死を遂げてしまった。
 ガチのマジで命懸けのチャレンジだったのである。

 残された私は、生来のお腹の弱さとグルメ嗜好、あとは、急な運動を避け準備運動を欠かさぬ慎重な性格のお蔭で生き残ったに過ぎない、いわばラッキーだっただけだ。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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