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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1296.文殊の知恵


 歩きながら手を組んで空を仰ぎ、感涙に咽び泣いているシュカーラに代わって答えるのはミロンの声である。

「モンスターも元を辿れば動物ですからね、浄化の力で魔力を取り除けば大人しいものですよ! 狩るのも簡単、いや、狩りとも言えませんね、怯えて震えている家畜を仕留めるだけですのでね」

「おわぁ、またまたマジかよ?」

 レイブの後ろを歩いていたペトラが会話に割って入る。

『えぇーっ! じゃ、じゃあさっき食べたのって…… オークじゃなくて野猪? だったの? やっだーっ、共食いじゃないのーっ! いやいやっ! アタシったら穢れてしまったわーっ!』

「いやいや、モンスターは飼育種、家畜だって知っているでしょう? 野猪じゃなくて豚ですよ、豚」

『あ、そうなの? それなら安心ね、ふぅ~良かったわ~』

 遺伝的にも染色体の数的にも差は無いと思うが…… まあ、ペトラが良いなら良いのだろう。
 代わって声を発したギレスラはなにやら得心がいった感じである。

『そうかっ! ここの獣人達が魔力を持っていない理由もそれなのだな? 日々の暮らしで受けた影響を再生雨でリセットしているのではないか?』

「ですです、本当に再生雨さまさまですよー、子供だけは長雨に曝さない様に注意しなければならないですけどねー」

「ほう」

 その後続いたミロンの説明によると、幼い内に雨に当たり過ぎると成長が止まってしまったり色々不都合が生じるとの事だった。
 里では全ての親が細心の注意をはらっているらしい事も合わせて話していた。

『不謹慎かもだけど、子供が雨を浴び続けたらどうなるのかしら? 産まれる前に戻っちゃうとか? 興味あるわ』

「おお、そうだな! 前世? 前の生での姿に戻っちゃったりしてな?」

「馬鹿ね、再生雨ってのは遺伝情報の通りに修復するスキルのことよ! 出産前、卵だったら卵殻の形成前に戻ったら死んじゃうの! それ以前は無いのよ」

 黙っていられなかったのだろう、先頭を行くガトが振り返って言葉を投げていた。
 レイブはガトの後姿、特に臀部でんぶに視線を泳がせながら答える。

「あーそれじゃ可哀想だもんなー、結局は産まれた状態までしか戻れないって事だな、って事は後天的な病気や怪我は治せても、生まれつき、先天的な病気や欠損は治せないって事になるのかな?」

 勘の良いガトは自分の尻の辺りを手で隠しながら答える。

「そうなるわね、でも昔はメチャクチャ再生に長けた悪魔がいたらしくてね、そんな場合にも何とかしていたらしいわよ? それ所か元々の力を増幅させたり逆に弱体化させたり自由自在だったって聞いたわよ」

 レイブは驚愕に目を見張って返す、因みに視線の行く先は手だけでは隠しきれていないガトのヒップである。

「マジかよ! そんな淒いスキルがあったらトレーニングや鍛錬なんかしなくても最強じゃん! 良いよな? なあガト、その情報も悪魔達が教えてくれたのか?」

「うん、確かかなり高位の悪魔だったらしいわよ、名前は何だったかな…… そう、ラマシュトゥだわ、生命の大精霊、ラマシュトゥよっ!」

「えっ、ラマシュトゥ? ま、又かよ…… 結構良くある名前だったんだなぁ」

『同じ神様なんじゃないの?』

「ん、ペトラそれはどーゆー?」

『だってレイブお兄ちゃんが言っているのってユイさんを依り代にしていた悪魔の事でしょ? だったら、その大精霊さんがユイさんに力を残したんじゃないかな?』

「なるほど、そうだよな! そんなにそこら中にラマスがいちゃぁ堪らないもんな、なはは」

『あら、嬉しいんじゃなくて? あはは♪』



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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