【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1439.贖罪の荷
赤竜、ギレスラは何度目かの声を溜息混じりで繰り返す。
『シュカーラよ…… それ、置いて行けば良かろうに』
ヘビ顔シュカーラは死にそうな声で答える。
「はぁはぁ、置いて? 冗談でしょ? 亜神様の、はぁはぁ、アーティファクト、ですよ? はぁはぁ」
『だがバラバラに砕けて最早使い物にならんのだぞ?』
「はぁはぁ、はあっ? そんな事は関係ありません! 正しい信仰の前には使い道とか有用とかは瑣末な事、所謂些事に過ぎないのですっ! はぁはぁ、ぜぇぜぇ」
『ふーん、なのだ』
バイコーンの襲撃でアイユの里が滅茶苦茶に破壊され、『再生雨』の金属板を失ってからの三日間、十数度目に及ぶやり取りはギレスラ的に然程新鮮には感じられていなかった様だ。
割とあっさり前を向き直ったギレスラに、そこそこサイズの豚猪、妹のぺトラが声を掛ける。
『本人が良いって言ってるんだから良いんじゃない? それにダダ坊も言っていたじゃない?』
『ああ、鍛治王、レ・ジャルダンなら直せるかも知れない、だったな』
『そそ♪』
会話の通り、里を離れる際にダソス・ダロスが話した所によると鍛治王レ・ジャルダンのウィル・スミスさんはこう言った道具類、所謂魔道具の仕組みに造詣が深いそうだ。
本職は魔術師が使うそれ専用の武器防具の製作や修理らしいのだがそっち方面にも結構通じているらしい的な話であった。
まあ、慰めや気休めかもしれないがその言葉を信じた狂信者、シュカーラは壊れた金属器を後生大事に運搬中、そんな状態だったのである。
しかしだ、集団が現在目指しているのは竜王の里、東の果てまで進んだら北上する予定だが、対して鍛治王の里は正反対の南西に位置している。
コインの呪いに侵されたスリーマンセルはいづれそちらにも足を運ぶ筈、その一事に希望を見出したシュカーラは見た目通りの執念深さを発揮して苦行を継続しているのだ。
どこかに隠したりしておけば良いじゃん、当然そんな声もあるにはあったが、まともな正論は狂信者の耳に届く事はなかった、神の遺物を置き去りに? 考えられんっ! この馬鹿共めっ! そんな奴等に任せては置けないっ! ええいっ、もう私が一人で運びますっ! そんな感じで一蹴していた、ある意味立派だとも感じられる程のガッツであった。
他人から見れば単なる下らない意地、そんな風に馬鹿にした物ばかりでもない。
ふるふるプルプルしている蛇っぽい両足、蛇で足とか言っちやうのもどうかとは思うが、事実シュカーラの細身の脚部には確りとした腱が浮き出て多少の逞しさを感じさせていたのである、成長、かな?
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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