【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1266.ドゥクス導く者
導く者、文字通りリードする存在であるリーダーに返り咲きを果たしたレイブ。
その風格は最早、ラテン語で言う所のリーダー、ドゥクスと呼んで差し支えなく見える。
ペトラは自らの指導者レイブに頭を垂れたままで問い掛ける。
『どこへなりとお供するわ! さあ道を示して、我がモーゼよ! どうすれば良いの?』
「そりゃお前、暖めれば良いんじゃね?」
『へ?』
「だから暖い方が光ったり熱いと長時間持つんだからなるべく高温になるように充填するしかないだろ?」
なるほど、単純だが無くも無さそうな論理でもある。
ペトラはもう一度確認を要するようだ。
『暖めるのね?』
「導いたんだが?」
『わ、判ったわ、で、どうやれば暖まるのかしら?』
「んーそれはちょっと見当付かんなー、ほら俺って充填出来無いじゃん? 出来ない物は説明も糞も無いじゃんかー、後はペトラ、お前自身の信じる道を行けば良いんじゃね? 知らんけど」
導き手の役柄はあっと言う間に終りを告げた。
一人旅に戻ったペトラは孤独な試行錯誤を始める事となり、レイブはドゥクスから再び無口な工業機械、魔石吸収要員にカムバックを果たした、儚さを感じる、諸行無常。
因みに変温生物の限界を思い知らされたギレスラは呆然と立ち尽くしたまま何やらブツブツと呟き続けたままである。
大きな瞳で眼球運動がグルグルと尋常ではない動きを繰り返し、中々に気持ちが悪い。
似た様な境遇に晒された時、それぞれの反応を対比する事で本質って見えてくるものだからね。
レイブは我慢強く打たれ強く復讐の機会を待つタイプ、反してギレスラは現実を受け止めるまでに時間を掛けて反芻していくタイプのようだ、非常に興味深い。
さて、全てを一任されてしまったぺトラは、それから暫らくの間、頭を捻りつつ何度かの試行を繰り返していた。
全ては魔力を充填した魔石を暖める、その一事を目指してである。
自分の信じる道を行け、そんなざっくりし過ぎな指示だけで暗中模索を始めた彼女は、程無く思考の行き詰まり、所謂壁にぶち当たる事となる。
何をどうしていいのやら、見当も付かない中で、何と無く下っ腹に力を込めて魔力を注入してみたり、呼吸を限界まで止めて顔面が真っ赤になった状態で充填してみたり、世の不条理を無意味に嘆いてみたりしてみたのだが、それらのチャレンジで魔石が温くなる事は無かった、つまり結果は伴わなかったのである。
二つに増えた実験用の魔石は充填後、足元に転がされるやいなや、隣に座った魔石吸収要員、まあレイブなのだが、彼が空にして目の前に戻してくるのだが、これが中々にプレッシャーを与えて来ている様だ。
無言のままで小さく頷きながら魔石を置くその態度と言うか、自分の仕事に黙々と向き合う職人気質の姿勢みたいなものが、言外の圧を与え続けているのだ。
ぺトラには一連の動作が、早くしろ! いつの間にかそんな風にしか感じられなくなっていたのである。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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