【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1077.実験と残念な結果
レイブの場合は、ロードランナーの能力によって幼い頃の魔力災害から生き残る事が出来た。
その後、ジャッカロープとの闘いを切欠に、ペトラ、ギレスラと抱き合った時だけアスタロトとコンタクトできたのだが、これについても説明が為された。
『あの頃のお前では我が入り込めば爆ぜ死んでしまうと思ったのでな、抱いているペトラとギレスラの容量を借りたのだよ』
と言う事らしい。
その後、岩山の岩窟での事に話が及ぶと、これまで流暢に話し続けていたアスタロトの口調に翳りが指した。
重なり合って気を失ったスリーマンセルにアクセスしたアスタロトは即座に状況を理解したそうだ。
レイブ、ペトラ、ギレスラは揃って絶命寸前で、助かる見込みは皆無であった。
本来ならば、どこかにいるゼムガレの血を継ぐ適合者に依り代を移さなければならない事態である。
しかし、
『あのな…… 我は思ったのだ、思ってしまったのだよ……』
アスタロトの説明はこうだ。
――――あれ? もしかして真核を三つに分ければこの三人助けられるのでは?
だそうだ。
『いやな、昔我が兄ルキフェルが魂魄を二つに分けていてな、コユキと善悪もそうだったんだが、やれるかな? そう思ったら無性に試したくなったのだよ』
なってしまったアスタロトはやり方も定かでは無いのに、力任せに自身のアートマンを三分割させて瀕死のスリーマンセルに宿った、そう言う事らしい。
結果としてレイブ達は無傷で救出され事なきを得た訳だが……
この辺りが魔神や魔王たちに脳筋とか言われてしまう所以なのだろう…… 全く、無茶しやがって。
『それでなぁ、アートマンを三つに分けたせいかどうかははっきりしないんだけどなぁ、お前らが大きくなった今でも我の力が上手く使えないんだよぉ、何故かは判らないんだけどなぁ』
「はぁ、いや原因はそれでしょ? 間違いなく」
『うーん、そうなのかなぁ? んでな、分けたアートマンをもう一度くっ付けて一つにするとか出来ないしなぁ~、良く思い出してみればルキフェル兄上のアートマンを二つに分けたコユキと善悪も兄上の力というか技? 使えなかったからなぁ、そう言うものなのかもなぁ、ってな』
「は、はぁ…… それで?」
『うん、何とか頑張って生きてくれ! それしかいえねぇ、と言う訳なのだ、力足らずで済まんな、くはは』
「絶対悪いと思っていないでしょ、それ? まあ、俺としては死んじゃう所を救って貰った訳だし文句とかは無いですよ、神様…… それに俺達自身が技を使えなくても、今回みたいにピンチの時は出てきて助けてくれるんでしょ? ね?」
『いやいやそうも行かないのだ…… 今回くらい魔力が濃密な場合じゃないと出て来れないんだよな、我って! 後はぁ、魔界とか? だからあんまり力になれそうも無いのだ、済まんなぁ』
「魔界? うーん、そうなんですね…… でも、今回死にそうだったピンチから助けて貰っただけでも大感謝です! 今後はもっと鍛えて俺達だけの力で生き抜いていきますんで、神様、えっと、アスタ様はあんまり心配しないで――――」
『…………我が君』
レイブが赤心からの感謝をアスタロトに告げている最中だと言うのに、無粋にもその言葉を遮る声が場に響いたのである。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
Copyright(C)2019-KEY-STU
励みになります (*๓´╰╯`๓)♡