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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第二部 五章 続メダカの王様 
859.激励

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 かくして翌日の早朝。
 ハタンガの中洲、その水辺に集った『美しケ池』の面々は、岸に揃い立ち、簡素ながらも旅支度に身を包んだ異形の陸生生物の群れと対峙しているのであった。

 これまで見たことも無い不思議な生き物で溢れかえっていたのであるが、空から水中も陸上も差異無く見続けてきたヘロンやドラゴ達にしても、彼らのそれは初めて目にする奇妙奇天烈な姿であった。

 猫、犬、ウサギにネズミ、恐らくハムスターやチンチラ、モルモット的な耳や特徴的な尻尾を有した人型の生き物ばかりではない。
 トカゲっぽい鱗に包まれた者達や、下半身が蛇っぽいラミアー的な者、額と鼻先に大きくせり出した二角を有している者、サイだろうか? 他にもヤギや羊の特徴を前面に押し出した横長の目を持つモフモフや、良く見れば、水辺に大量に居る赤褐色のカバ的な色目に見た目はまんまニンゲンっぽい奴等もメッチャ沢山、と言うかナガチカの一押しなのか他の種と比べても異常な数がジッとしたままこちらを凝視して居る。

 中々気持ちが悪い、そう評する向きもあるだろう…… 私もあまり好みでは無いな、と言うか気色悪いと思う……

 そんな人族の縛りを超越していたのかどうかは定かでは無いが、今回、いいや二回に渡る観察の対象である、ナッキは言う。

「ナガチカぁ、ほんの数日の間だけだったけどさ、君と別れる事を惜しむ、ってか寂しくて仕方ない自分が居るよ…… でもね、昨夜仲間の皆と話して決めたんだ、快く送り出そうってさ! だから、この言葉を旅立つ君に送らせて欲しい、思いが無事果たせようが、心ならずも君の旅が道半ばで終わりを迎えるとしても…… 良い旅をっ! ナガチカっ! 楽しんで来てね!」

「な、ナッキ殿……」

 サニーがナッキの言葉を引き継いで言う。

「ナッキはそう言うけどさっ、アタシはナガチカが奥さん、美雪さんと息子さん、ナガチカ自身が言っていた何より大切な子供に出会える事を祈っているよっ! 出会えると良いね、きっと会えますように…… えへへ♪」

 うん、サニーも滅茶苦茶良い子だよねぇ、泣いちゃいそうだよ……
 旅支度を整えしっかり装備している父が、何故か首を傾げながら答える。

「は? 美雪と聖邪、ですか? サニー殿? 会わない為に旅立つんですよぉ? 良いですか? カーリーを失った彼奴等きゃつら、美雪の馬鹿と糞生意気な聖邪はどうすると思いますか? 考えれば簡単でしょう? 私を否定してこの村を後にした癖に、臆面も無く、生き残る可能性が最も高いここ、ハタンガに帰ってくる事は自明の理でしょう? そして、私の事を悪し様に責め立てる、ここまでは想像に易いのですよ! 判るでしょう?」

「ええっ、再会する為に旅立つんじゃなくて、戻って来そうだからその前にトンズラ、って事ぉー?」

「トンズラとは中々辛辣ですね、不毛な諍いを避ける為、そんな所ですよ…… 何しろあの二人は私に激しい憎しみを抱いているんでね、まあ三十六計逃げるに如かずってヤツですよ」

 ん、母は兎も角、この時点では私、観察者は父親に憎しみなど抱いていなかったはずだが、そもそも目覚める前だし…… 今回の観察を通じて軽蔑こそしているが憎しみまでは…… はてな?


お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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