【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第二部 五章 続メダカの王様
803.ティターンの覚醒
存在の価値が地に落ちたアレがドラゴに向けて言う。
「はっ? 何だってぇ! 聞きましたかっ、ナッキ様ぁ! まだ諦めるには早いだとか何とか言ってますよ、この虫ぃ! 『魔力草』と『ヒル』っ! 何とかなるかもだってぇっ! 聞いてください、ほらほらっ早くぅーですよぉっ!」
アレのあまりの迫力にナッキは内耳を澄ませる、聞き取れる訳など無い筈だと言うのに、だ。
丁度、アレに答えたドラゴの羽音が内耳に届く。
「いやだからな、『魔力草』も『ヒル』も手に入らない、そう言ってきたキトラ様の下へ赴いて話を聞けば何とかなるかも知れないんじゃないか、って言っているんだよ、あっちは何か知っているんだろう? 違うかよヘロン?」
聞こえた…… はっきり聞き取れたのである……
ナッキは驚きつつも意識した無言のままで内耳を更に澄ます。
いつものクアークアッと言った派手目な声ではなく、嘴の中で小さくグァグァ聞こえている声をナッキは聞き取る事に成功した、非常にクリアである。
「ドラゴよ、真剣に答えるなよぉ…… どうせ判っていないってばぁー! この馬鹿な魚に何を言っても理解できないじゃないか? 顔を見れば判らないかなぁ? コイツラ馬鹿なんだぜ? お前とも有ろう者がこんなヤツラを相手にしたら駄目だろうがぁ! ちょっと話を会わせて置いてくれれば良いからさあ、魔力草やヒルが手に入らなくても、さっきみたいにコイツ等にウランを埋め込めば、何か判るかもしれないじゃないかぁ? 少し黙って見ていてみろよ、俺が上手く誘導してコイツラを実験動物に―――― ブベラッ!」
大きくなったばかりの尾鰭は見た目だけでなく、ちゃんとパワーアップしていたようだ、良かった。
邪悪なアレが池の際まで吹っ飛んで叩きつけられ気を失ったので、改めてナッキはトンボのドラゴに話しかけるのである。
「やあドラゴ、何か僕ね、話せるようになっちゃったみたいでさぁ、改めてよろしくね! 例のモノは確りと準備させて貰うよ♪」
ドラゴは驚きも見せずにゆっくりとした動作で頷きを返した後で羽ばたく。
「そうですか、その石を取り込んで無事、ティターンとして覚醒されたからでしょうね、こちらこそよろしくお願いしますナッキ様、それと、例のモノ、感謝します」
お互いに顔を見合わせてニヤリとした後でナッキは改めて聞く。
「でさ、ティターンってなんなの?」
ドラゴは羽ばたいて返す。
「そうですよね、ご存じ無いのも当然でしたね、ティターンと言うのはずっと昔、この世界を創造した神々、巨神の総称ですよ」
「へぇーそうなんだね、んで僕とサニーがその、神様ぁ? それになったって言うのかい?」
「ええ、恐らくそうなのではないかと…… ティターンと呼ばれる神々はですね、自身の身中に光り輝く輝石を取り込む事で大いなる神々へと昇華された、とか…… その様に言い伝えられておりましてぇ! 恐らく今のお二方と同じ様に輝き捲っていたであろう、太古に存在した神々の事を指して、我々、愚か者達が呼ばせていただいた呼称なのですが…… 改めて宣言いたしますよ? 私ドラゴと配下のトンボは、貴方様方に赤心からの忠誠をお誓いしたいっ! そう思っているのですっ! とは言え、例のモノは、それはそれとしてぇ、頂きたいと思ってはいるのですがぁ…… 兎に角っ! あの邪悪に過ぎる阿呆なゴイサギ、ヘロンの馬鹿とは違うっ! あんなに馬鹿ではないっ、全くの別物だと言う事だけは、そこだけはご理解頂きたいのですっ! 我君っ! ナッキ様ぁっ!」
「う? うん…… そ、そうなの?」
「そうですっ! 先程ナッキ様自身がぶっ飛ばした通り、アイツ等鳥族って邪悪なんですよ、信じちゃだめなのですっ! 信じるんなら我々虫族、それも空を統べるトンボ族、一択っ、一択なのですよっ!」
お読みいただきありがとうございます。
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まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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