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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1072.やりたい放題


 青年はニヤニヤした表情を浮かべて答える。

『ふん、生意気な小娘だな、まあ、無知ゆえの愚かさと見逃してやるとするか、おいっ! 雌ライオン、『回復』だ『回復』! 急がないと我のペトラとギレスラが死んでしまうではないか! 早くするのだ! この愚図め!』

「っ! キャス・パリーグっ!」

『は、はい! 『回復』『回復』『回復』』

『良し! 下がって良いぞ雌ライオン! 赤い小娘はそこで待っていろ! 我はまず、我のレイブと話したいのだ』

 全身を真っ赤に染めていたズィナミが、怒りからだろうか、更に赤みを増してどす黒くなりながら叫び返す。

「なっ!」

 一方のキャス・パリーグは借りてきた猫ちゃんよろしく、大きな前肢を顔の下で揃えてお利口な素振りである。
 憤慨した表情のまま足を一歩踏み出そうとした刹那、再びアスタロトの声が静かに響き、若作りの彼女はその動作の全てを金縛りでも受けたかの様に止められてしまうのであった。

『待てと言っているだろう? 空に居る蛇、いや、トカゲかな? それに地面に潜んだお前もだ、そこで並んで待っているが良い』

 ドウッ! ボコッ! シュタッ×2

 アスタロトが言葉を発したと同時に、両の眼の間にある額の単眼、第三の瞳が紫色に怪しく輝き、次の瞬間、空から勢い良く落下して来た緑竜エンペラと、地中から無理やり引き出された様に姿を表した巨大なデスマン、カゲトがズィナミ・ヴァーズとキャス・パリーグの左右に整列して、後肢だけで直立し、命令を待つ新兵の様にビッシッ! と背筋を伸ばしたのである。

『宜しい♪ そのままで待てよ、くふふふ…… さて、我のレイブよ、ようやく邂逅できたな、我はアスタロト、別格の魔神が一柱であるぞ♪』

 レイブはすぐ脇で横たわっているペトラとギレスラに視線を送って確認をした。
 揃って静かな寝息を立てて眠り始めている様だ、死の淵からは抜け出せているらしい、良かった。

 安堵の息と共に青年、アスタロトに向き直ったレイブは、彼の肩越しに見える直立不動の面々をチラチラしながら遠慮気味に聞くのである。

「え、は、はいっ…… 初めまして、えっと神様? あの…… 学院長たちは、その…… 大丈夫なんですかね?」

 心配そうなレイブの視線を遮るように、広い肩幅の体を動かして正面に立ったアスタロトは答える。

『心配要らんぞ、少し『魅了チャーム』で待たせているだけだからな! 頑張れば呼吸位は出来る筈だ、死にはしないだろうし死んだら死んだで、まあ、そのレベルの奴等って事だろう♪ お前が心配してやる事ではないぞ、くふふふ! それよりも、神様? かぁ? 他人行儀でいかんな、我の事はアスタロト、いいやもっと身近な感じでアスタ、アスタと呼ぶが良いぞ! お前とペトラ、ギレスラのスリーマンセルだけに特別に許してやるぞ! どうだ? 嬉しかろう、くはっ♪』

「は、はぁ、ありがとう? ございますぅ」

 どうやら愛称で呼ぶ許可を頂けたらしい。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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