【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1571.彼我
「後は先程も言った通り、我々の配下と眷属、併せて数千がこの坑道に住み暮らしているのです」
マナナンガルの説明は締めの段に入っている様だがレイブはとても耳聡いのだ。
「ん? 数千? 確かぁ、さっき千って言っていなかったか?」
「ああ、それでしたら――――」
彼女は笑顔で質問に答えてくれた。
それによると、レッサーデーモン以上の配下、つまり悪魔は最初の話通りで、その他に食事係と言うべき眷属が数千行動を共にしているとの事であった。
レイブはこの事に驚いた様だ。
「悪魔、神様が眷族の群れと一緒にか…… 珍しいよな? ほら大体神様って独りで居る事が多いだろ? 手下は必要な時に呼んだりしてるじゃん」
「そうですか?」
ああ、シドとかヘロン、それに他ならぬアスタロトがそんな風だったからだね、そう思うのも無理は無いか。
『しかし客観的に見れば我々やガトがクルン=ウラフの獣人達と一緒にいるのも同じ様に見えるのではないか? ほれ、学院の主要メンバーも今では悪魔入りであるしサリトのシパイも傍目では同じ構図だぞ』
「あーそっか、なるほどな」
『それにハタンガを作り上げた『メダカの王様』や初期の幹部だって皆悪魔だったって話があるのよ? ニンゲンや魔獣、ドラゴンは彼等の眷属、ううん、あそこは仲間って感じだったんだろうけど、ここと大差ないんじゃないかな?』
「ほーハタンガもか、そっか普通の事なんだなー」
「と思います」
自分たち自身や身近なメンバーと比べる事でレイブの疑問はいとも容易く解けた、単純だ。
マナナンガルは安心の笑顔を浮かべて会話を続ける。
「我々は数千年前、ハタンガを目指してかつて住み暮らした地を旅立ったのです、荒野を歩き続け、幾度か海をも渡り、何とかこの大陸に辿り着く事が出来たのですが…… それっきり、この山の坑道で無為に時を費やしてきたのでございます」
「え、ずっと?」
「はい、不本意ながら……」
『何千年もこの穴の中に、か……』
「はい…… およよ」
『どうやらやむにやまれぬ事情があるみたいね、聞かせてくれる?』
「ええ、実は――――」
どこか多分な含みを感じる言葉にやけに素直なイエスマンぶりで惻隠を示したスリーマンセル。
いつの間にかお悩み相談カウンターとなっている事に気が付け無いまま身を乗り出して先を促しちゃっている三者である。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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