【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1371.フェイリアー
『レイブお兄ちゃんだけじゃなくてギレスラお兄ちゃんも重症だったのよ! 強引に鱗を引き千切っちゃったりしたから死に掛けていたのよ! もう只の石とカリカリのトカゲみたいだったの、それで……』
「どうしたの?」
『アタシ焦っちゃってね、レイブお兄ちゃんのナイフで自分の顎を切り裂いてお兄ちゃん達に血液を飲ませようとしたんだけど、上手く飲ませられない内に気を失っちゃってぇ』
「えぇっ」
「まあ死ぬよな、普通…… でも数日後にキャス・パリーグとカゲトに発見された時には腕も鱗もペトラの顎も元通りになっていたんだよ、不思議だろ」
『むぅ、獅子壁と馬鹿師匠の片割れ、か……』
「そそ、んでその後目覚めたらオーラが無垢から紫色に変わっちゃっててな、魔術師としてはお終いって訳だよ」
「お終い……」
『しかし私は兄貴たちに救われたでは無いですか? 元気ですよ、これこの通り』
寝そべったままで出来る精一杯のアピールなのか、鼻息を噴出したダソス・ダロスにペトラが言う。
『あのねダダ坊、褒めてくれるのはありがたいけどさ、実はアタシ達だけの力じゃアンタを救えなかったのよ?』
『むむ?』
「どう言う事?」
この疑問にはギレスラが返す。
『必要な薬が作れないのだ、ほれ、施術中に我とレイブが飲んでいた皮袋があったであろ? あの中身はアキザーキラー、強壮効果がある魔獣の血清なのだ! それにレイブがナイフにつけていた糊に含んだ赤い粉、あのタンバーキラーもレイブには作る事が出来ないのだ』
「後ニンゲンの石化に使うユーカーキラーやアミュレット、タリスマンもだな、全部この紫の魔力が干渉して駄目になっちまうんだよ」
『因みにだけど、アタシの血液やギレスラお兄ちゃんの鱗も素材にはならないのよ…… 捨てるしかないの』
『グガ、そうなのだ、つまり、学院から持って来た分を使い終えたら誰も救えない、そう言う事なのだ』
「そうなんだ……」
「そうだぞ、だから俺たちは『役立たず』なんだよ、今回の旅も本当ならちゃんとした魔術師が来れれば良かったんだけどな、竜王の里にはアスタさんが行くって聞かなかったし、俺たちスリーマンセルなら魔力でどうにかなる事も無いからな、まあ仕方なく選ばれたって訳だ」
レイブの言葉を聞いたガトはふさぎ気味にしていた顔をパッと上げて返したが、その表情は何か得心がいった、そんな風に変わっている。
「そっか、紫の魔力はアスタロト、『氷炎の支配者』のヒートルーラーね、それなら他者の魔力に干渉しちゃうのも、子供の頃の怪我が治った事にも納得がいくわ、魔神だものね、自己再生能力が発現したんだわ」
「おぉーそっかそっかぁ、なるほどアスタさんのお蔭だったかぁ、納得だ」
「でも」
「ん? でも何だ?」
「魔力が大丈夫って何なの?」
「んん?」
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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