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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1422.アイドルは偶像


 仲間の獣人達が揃った事を確認した里長マッチは畏まった声で告げる。

「ガトさん、どうか我等をお導き下さいませ、ここなるクルン=ウラフの民は貴女様を神とも母とも崇め敬う事を誓います、どうか、どうか、お願い致します」

「「「「「「「「お願い致します」」」」」」」」

 マッチの口上に続いて各獣の家長らしい者達が一斉に声を合わせている。
 その後にも家族や一族に連なる老若男女が口々に願う声が途切れなく続いている。

 普通であれば面食らって尻込みしてしまいそうな場面だろうが、当のガトはいつも通りの明るい笑顔で余裕な風だ。
 何度も懇願の声を上げる獣人達に対して軽い調子で手を振って応え、やがて言葉を返したのである。

「うわぁ、皆にこんなに言って貰っちゃったら、ガト嬉し過ぎて元気になっちゃうよぉ! でも一人だけが元気よりも、皆も一緒に元気になって欲しいの! ガト皆が元気で笑顔でいられるように一所懸命がんばっちゃうんだから! これからもヨ・ロ・シ・ク・ねー☆」

「「「「「「「「「「「「ウオオォー!」」」」」」」」」」」

 盛り上がる神と信徒の輪から取り残された場所で、緊張を解いた兄と妹が小声で毒づく。

『ケッ、くだらねー茶番にしか感じられないのだ』

『ね? にしてもガトちゃんも随分極太の神経してるわね…… 普通、ああは出来ないんじゃない? 引くわね、うん、ドン引きよ!』

 この言葉を聞いたレイブがセルフジルトから復活したのか反応を返す。

「ああ、アイツの中にいるのって偶像神アイドルサタナキアなんだろ? アイドルって位だからあんな感じに慣れてんじゃね?」

『むぅ、なるほどな』

『そうか、やる筈だわね、プロだったのよ、プロ』

「ははは、まあ良いじゃないか、俺はお前等がいれば充分だぞ?」

『レイブ…… わ、我も充分なのだ!』

『うん、アタシも充分だわ、羨ましくも妬ましくも憎くも無いんだからっ、そもそもスリーマンセルだしっ!』

「あははは、ぺトラは元が元だからな、つい思い出しちまうんだろ」

『アリス様は人気者だったのだ、カムバックパワーってヤツなのだ』

『ち、違うわよ! もうっ!』

「あははは」

『ジジジッ!』

『おおっ、テューポーンさんもいるからフォーマンセルなのだ、喜ぶのだペトラ、支持者が増えたのだ』

「おっそうか! やったな、あはは」

『そうね、うふふ』

『ガハハ』

『ジジジ♪』

「いやはや、結局里を捨てる事になってしまいましたね…… こうなった以上、しっかり面倒見て下さいよ、神様一味の皆さん」

「あれ? シュカーラにミロンとブロルもか、仲間達まで引き連れてどうしたんだ? ガトにかしずかなくて良いのかよ」



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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