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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第二部 五章 続メダカの王様 
848.ごちそう

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 ナッキの脳裏に子供の頃に偶然食べてしまったミミズの芳醇ほうじゅんな味わいが蘇るのと同時に、教師役のフナの奥さんがどんな目にあってしまったか…… その記憶が鮮やかに浮かんで来ていたのである。

 空腹を宣言したサニーは、子供の頃にナッキから聞かされ続けていた憧れのミミズを前に、常の冷静さを欠いているようだ。

「うわぁー、こ、これがミミズぅ? ねぇナッキっ! 食べて良い? ねえねえっ! これ美味しいんだよね! 食べても良いのぉ?」

 ナッキは大きな声で告げる。

「待てっ! サニー、待てっ! ステイっ! ステイだよっ! ナガチカ? 念の為に聞きたいんだけどさっ! このミミズって針とか…… 仕込んでいるとか無いよね? どう、どうなのぉ?」

 まあ、失礼な…… 立派なお父様に限ってそんな事が有る筈無いのに、このフナってばっ!
 優しく立派で神の如きお父様が、親切に答える、優しい。

「針? ですかぁ! そんな物入れる訳無いじゃないですか? 釣りじゃあるまいしぃ…… 正真正銘畑から取って来た安心安全なミミズですよ! どうぞ、食べて下さい」

 ほらぁ、お父様の有り難い施しなんだから食べとけば良いんじゃないのおぉー!
 ナッキも同じ様に思ったみたいである。

「……………… 良しっ! サニー、食べて良しっ!」

 パクッ! モグモグモグモグ、ゴックンっ!

「お、おおおおおお、おおお、美味しいぃぃぃっ~!」

 そうだろうな、生まれて初めて偶然ミミズを口にした際のナッキもそんな感じだったよ。
 後に続く言葉は何だったかな?
 確か…… ブワァー、ブワァーとか何とか言っていたような……

「食べた瞬間ぶわーって、全身がこう、とにかくぶわーってぇ! うわぁっナッキィ?」

 うんそうそう、それと同じ反応だったよ、サニー。

「あはは、喜んで頂けたようで良かったですよ! どうです? ナッキ殿もお食べになるでしょう?」

 ナッキ即答。

「うん、ナガチカ、頂きますっ! アーンっ!」

「あはは、はい、どうぞぉ~!」

 それからしばらくの間、優しいお父様はあろうことか十数度もミミズを水面みなもに落とし続けて下さり、愚かだが純朴なフナ共は嬉しそうに与えられたかてに下卑た笑いを浮かべ続けたのである、感謝せよ。

「はい、おしまい」

「あー終わっちゃったかぁー、残念ー」

「えっ、もう無いの? う、嘘でしょ? ナガチカ、もっと有るんでしょう?」

 ちっ、図々しくて中々いやしい発言だな、ウオめが……
 知性の低いウオとは言え、流石に気に掛かったらしくでかいウオが、小さいウオをたしなめる。

「サニー、我が儘わがままを言っちゃあイケないよ? 魚として普通に生きてたら一生食べる事が出来ないかも知れないご馳走なんだよミミズってぇっ! しかも釣られるリスク付きでね、さあ、もう欲張らないでナガチカにお礼を言おうよ、ありがとうございましたってねぇ」

「違うよナッキィ! あぁっとぉ、ナガチカには感謝してるよ、貴重なミミズをありがとね、ご馳走様でした…… 物凄く美味しかったよ」

「いえいえ、どう致しまして♪」


お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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