【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第二部 五章 続メダカの王様
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ナッキも私と同じ様な疑問を持ったのだろう、いつも通り素直に聞く。
「家族の間で憎しみって…… ねえ、何かしたの? ううん、一体何をしでかしたのさ? ナガチカ」
うん、この数日で大分ナガチカの事が判って来ているみたいだね、頼もしい。
対してナガチカはニヤニヤとした表情で答える、悪びれない所か楽しそうにすら見える、何なんだお前はっ!
「いやぁ、『つまみ食い』所謂ところの火遊び、浮気ってヤツなんですがね? 寺育ち、自分自身も尼僧だったからでしょうかねぇ、バレタ途端、烈火の様に怒り捲りましてねぇ、いやぁ参りましたよぉ、こちらの弁明なんて端から聞く気が無くてですねぇー、ヒステリックに私を責め立ててくれましてね、家から追い出しやがったんですよ! 冬、でしてね…… 山裾までトボトボ歩いて根雪の山に潜り込んでなんちゃってカマクラの中で必死に雪の下から小石を拾い出して、生活魔法で高温にして、何とか生き延びる事が出来ましてね…… 翌日もですね、川水を口にしたんですが、酷い水当たりに三昼夜苦しみ抜く羽目になりましてねぇ、良く考えれば判る事だったんですがね? 妻、美雪が回復の技を誰に教わっていたかって事をねぇ、ラマシュトゥという高位悪魔、『改癒』の属性持ちからだったんですから少し考えれば判るんですよね! 私が隠れそうな所の水に『弱体改癒』を仕込む事位はね、いやぁ、うっかりさんでしたよー」
ナッキの声だ。
「そ、そうなんだ…… そ、それで?」
倫理観の欠如を一切恥じる事無く、ド変態が答える。
「ええ、そうなんですよっ! たかだか痴話喧嘩、夫婦喧嘩でそこまでしたんですよアイツはっ! 信じられないでしょう? 殺しに来たんですよねっ!」
「ええっとぉ、そ、それで?(アゲイン)」
「それでですね、私が二週間ほど酷い凍傷としもやけに苦しみ抜いた後、やっとの思いで帰り着いた村は変わり果てていたんですよぉ…… 具体的に言えば、攻撃の主体だった『六道の守護者』や、守りの要である『オニギリ友の会』の面々は村を去り、有ろう事か、私が情を紡いだドラゴンや魔獣の皆、我が子たちの産み手すら、む、村を追放されていたんですよっ! あの、嫉妬の魔女、妻の手によってですよぉっ!」
……………
ナガチカの馬鹿は自論を続ける。
「だ、だからやってやったんですよぉ、私は美雪の留守中だった自宅に忍び入って、馬鹿みたいにスヤスヤ眠りこけている馬鹿息子、聖邪の胸に復讐の刃を突立てたんですっ、刃は美雪の阿呆が受け継いだ、神聖銀のペンでしたぁー、ペン、ペン、ペンー!」
ナッキは大きな声で叫ぶ、まん丸な目はこれ以上無いほど打ち広げられている。
「えっ! えええぇっ! さ、刺しちゃったのぉ!」
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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