【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1237.take2
不意に訪れた絶命の危機にもレイブは冷静な声で対処をする。
「ぺ、ペトラさん…… 勘弁してください…… も、もう、し、死ぬ……」
『はっ! やだアタシったら、ごめんなさいレイブお兄ちゃん! 許してーっ!』
「ゆ、許すから、ひ、『回復』を…… お、お願いします……」
『うん『回復』! これで許してね?』
漸く自分を取り戻したペトラは圧殺を思い止まってくれた。
それだけでなく親切にリクエストに答えてヒールまで掛けてくれた為にレイブは九死に一生を得たのである、良かった。
淡い光に包まれながら回復していくレイブは、押し付けられていた大木を背に座り込む形となり、濁って旅立つ直前だった瞳にも再び命の光を取り戻したようだ。
口元の血を拭いながらペトラに問い掛けた声はこうである。
「やばかったぜペトラ…… にしても一体どうしたって言うんだよ? クレバーが売りのお前があんなに取り乱すなんてさ、ふぅ~」
この言葉を聞いたペトラは体をガバッと起こして大きな声で答える。
『そ、そうなのよっ! 大変な事が起こってしまったのっ!』
「ひっ! ごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃっ!」
『大変なのよレイブお兄ちゃん! ギ、ギレスラお兄ちゃんが、こ、殺されちゃったのよぉ!』
「ごめんな、さい、って…… へ? ギレスラが? 何? なんでペトラがその事知っているんだ? 結構離れていたのに? なんで?」
『ん? 何を訳の判らない事を…… 兎に角見てよっ! ほらっ、ギレスラお兄ちゃんの赤い鱗がこんなに…… う、ううぅ、肉も綺麗に捌かれちゃって…… もう、バラバラに…… う、うわーん!』
「えー?」
答えながらペトラが震えていた辺りに目をやると、確かに地面のそこかしこに赤い物が散らばっているように見える。
少し先の川べりにはこちらも彼女の言葉を証明する様に、切り分けられた大量の肉が並べられているではないか。
少なく無い既視感を感じながら近付いたレイブの後ろからはペトラが嗚咽を洩らしながらトボトボと付いてくる。
背後に立たれる事に多少ではない恐怖を感じながらもレイブは話しかけた。
「ペトラ、多分だけど、これ、ギレスラじゃ無いぞ」
『え、嘘! だって赤い鱗が、こ、こんなにあるじゃない!』
レイブは背負っていた背嚢の中から先程森の北側で拾い集めた鱗を取り出して見せながら言う。
因みに背嚢の上に積んでいた肉が無くなっている事にも気が付いたが、優先度を考えて探し回るよりも話を先にする事にしたらしい、冷静な判断が頼もしい。
「実はな、本物のギレスラはもっと北の方で殺されちゃってたんだよ…… ほら、こっちの鱗に比べるとお前が見つけた方は少しくすんだ赤だろう? 辛い事に変わりは無いだろうけどさ、こっちが正真正銘のギレスラなんだよ…… ぐすっ」
『え、そ、それがギレスラお兄ちゃん、なの?』
「ああ、ショックだろうがしっかりしてくれよ、まだ俺がいるんだからお前は何も心配しなくて良いからな」
『うーん? どれどれ~?』
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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