【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1108.死亡フラグ
気を取り直したキャス・パリーグは自分の後ろでいつに無くモジモジしていたラマスを振り返って言う。
『待たしていく相手もいるんだから、必ず帰ってこなくちゃ駄目よレイブ…… ほらラマス、アンタからも言っておやり』
大きな肉球に押し出されるように前に出たラマスははにかんだ笑顔を浮かべてレイブに告げる。
「いってらっしゃいダーリン…… 気を付けてね……」
「ああ判ってる、姉さんはああ言ったけど竜達の暴挙を止めて必ず帰ってくるよ、ラマスの元に…… だから…… 俺達がこの旅から帰ってきたら、その、け、結婚してくれないかっ、ラマスっ!」
「っ!」
ペトラの背からテューポーンが慌てて割り込んでくる。
『あー駄目ですよー! そんな判り易いフラグとかぁー、死にますよ? マジで』
「ふ、フラグ?」
「え? このプロポーズって、アタシ受けちゃ駄目なの?」
何度も力強く頷いているテューポーンの前に座ったアスタロトがそっぽを向いたままで答えてくれる。
『こいつはアニメやラノベの影響受け過ぎなんだよ、心配せずともフラグなんぞ何十本立てようが、すべて我がへし折ってくれるわ! くふふ、そう言えばコユキや善悪も立てたフラグを平気で踏み潰していたなぁ、くふふふ』
「へー、アニメ? ラノベ? 何だろ?」
「良く判らないけど待ってるねダーリン、戻ってきたら結婚…… ラマスを奥さんにしてね♪」
「やったぜっ!」
オォー パチパチパチパチ ヒューヒュー
見送りに集まった面々から惜しみない拍手と冷やかしが若い二人に降り注ぐ。
照れている真っ赤に紅潮した頬の色を誤魔化すようにレイブは視線を一同に巡らせて言う。
「さ、さてとっ! じゃあそろそろ出掛けるとするよ! ご、ごほんっ、皆元気でね…… 俺達も役目を果たす為に最善を尽くす…… だから…… きっと必ず再び笑顔で会おうっ! じゃっ、又っ! さぁ、出発だ! 早く行って早く帰ろうっ! 行くぞっ! ペトラっ?」
声を受けた漆黒の豚猪は、二柱の悪魔をその背に乗せたままでゆっくりと立ち上がり、どこかセンチになりそうなその場の空気を強引に変えるような声を発する。
『ブフォォー! さぁ旅立ちだよぉー! ドンドコドン! 行け行け行け行け、ドコドコドンッ! 秋? じゃないし、春? でも無いけど…… ええとぉ…… うん、真夏の盛りに魔術師レイブの旅立ちだっ! それっ、ドンドコドコドン、ドンドコドン!』
ギレスラも調子を合わせる様に大きく翼をはためかせて叫ぶ、まるであの幼き日に聞いたアラスカンファイヤーバックのそれを模した様に……
『グラララガァー! 行こう! いつも通りの退屈な旅をっ! 道行きに語られる物語を楽しみながらっ! お待ちかねの旅が始まるぞ! 放浪だぁっ! グアアアアアアァァァーッ!』
フルダークネスの豚猪の声も同じ日に聞いたヴノのそれと酷似していた。
『ブフォフォフォフォォ! 行こう行こう行こうっ! ズンドンズンドン、さあ、歩こう、歩けぇ歩けぇ、ドンドコドン、ドドドドド、ズンドコドンドコ進めや進めぇ! ブホォゥ!』
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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