【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1370.ハーフ ア ライフ
順番的に最初に呆れた心象を持ったガトが仕方なさそうにしながらフォローを始めてくれる。
「まあ大変だったんだろうけどさ、お蔭で魔術師になれた訳じゃない? 結果的には良かった、でしょ?」
折角の思いやりだと言うのに無碍にするのが我等がお兄ちゃんである。
「はははっ、それも無駄っちゃあぁ無駄だったけどな、結果論だけどさ」
『ガッ、まあなぁ……』
『だわね』
全否定していた弟と妹も長兄レイブに同意して、これでいつも通りのスリーマンセルに戻ってガトと対話の準備が整った様である。
満を持した感じでガトはてんやわんやだった今日一日の大纏め、所謂お片付け的な会話を始めた。
「無駄? 全然無駄じゃ無かったわよ? 実際ダソス・ダロスも救ったじゃあ無いの! ね?」
『ああ、感謝しかない、私を永い悪夢から解き放ってくれたのだ』
「ねえ、そうよね?」
この素直なやりとりにも、スリーマンセルは揃って自嘲気味な表情で返した。
まずはペトラからだ。
『ダダ坊を助けられた事は本当に良かったわ、でも今回は僥倖に過ぎないのよ、だってアタシ達って、ほら、『役立たず』じゃない?』
「ちょいちょい言ってるけど…… それって一体何なの? 詳しく話してよ」
「そっか、あのな――――」
人里離れた石化の谷で、タロースや悪魔達に囲まれて育てられ、この時代のニンゲンなら誰でも知っているだろう常識に疎いガトの疑問にレイブは答えた。
いつも以上に丁寧に時系列で順を追い、自分達スリーマンセルが経験した変遷について説明をしたのだ。
共通の出来事であるハタンガでの災厄まで遡り、救い主バストロとの暮らし、ギレスラやペトラとの出会いと巨人化の能力を失った後、前のめりになって渇望した、魔術師として身を立てる為に修行に勤しんだ日々の事。
三種の薬剤とタリスマンにアミュレット、魔術師の産物が漸く認められ始めた時に訪れたフランチェスカと彼女のスリーマンセルとの出会い。
そして、最愛の師匠、バストロ、ヴノ、ジグエラとの別れに繋がったスターゲイザーの指令。
留守居の最中、岩山の岩窟に現れた青いオーラを纏った黒衣の襲撃者について。
そこまで話した所でレイブはしみじみとした呟きを洩らす。
「あの時はガチで死ぬ覚悟をしたよ…… それと確かに左腕が砕け落ちたと思ったんだがなぁ……」
「そうなの? 急に襲って来たんでしょ、混乱して勘違いしたんじゃない?」
『グガッ、間違いないのだ! レイブの左腕は肩先まで石化して崩れてしまったのだ』
「そう……」
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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