ショートショート#2 「ランチがなくなる5秒前」
この小説は友人のボカロの曲「セルフネグレクト」の歌詞に衝撃を受けて書きました。
皆様も是非聞いてみてください。
※歌詞に衝撃を受けて書いた小説ですが、世界観は異なります。
「次の曲は『LunchでKoiする5秒前』です。
MAKIさん、この曲はどんな方を意識して作った曲ですか?
『はい、この曲はオフィスラブを歌った曲です。』
それではお聞きください、MAKIさんで『LunchでKoiする5秒前』です、どうぞ。」
ラジオからアナウンスが流れた時、思わずラジオの脇からマイナスドライバーを入れて、ギチギチにラジオの中を掻き回した上で、天高くぶん投げてやった。
昼食時、休憩室のテレビを占拠する集団から離れて、一人でラジオを聴きつつ、コンビニのサンドイッチを食べる時間が至福だというのに。
そもそも「LunchでKoiする5秒前」ってどんな曲名だよと思った。
5秒前だから、まだLunchいやランチはしてないはずだ。
ということは近未来にKoiいや恋することが確定するLunchいやランチをする、という解釈になる。
ということは憧れの彼とLunchいやランチをするということか…?
Lunch(ランチ)で、Koi(恋)するのだから、Lunch(ランチ)は相当に気合いの入ったものだろう。
ということは彼女の手作りというのはほぼ確定だろう。
なにせ「5秒前」なのだ。蓋を開けた瞬間に、Koi(恋)するくらいでないとおかしい。
店で注文した場合、この「5秒前」を計測するのが難しい。
いくら彼のお気に入りの店の予約をとったとしてもだ。
店側が5秒で提供できるとは限らないし、牛丼ならわずかに可能性が残るものの、牛丼Lunch(ランチ)では、Koi(恋)には至らないだろう。
コンビニなどで買ってきた可能性もなくはないが、Koi(恋)までは繋がらないだろう。
Lunch(ランチ)というのも気になる。
Dinner(ディナー)ではない。ということはまだ交際する程の仲ではないということか…?
そう考えると、この歌手がKoi(恋)という言葉を意図的に使っていることは頭脳派プレーともみれる。
歌手が「オフィスラブを歌った曲」と言っていることからも限定できるはずだ。
高校生だってコンビニで憧れの彼とLunch(ランチ)を共にできる。
高校生ならではのエピソードだ。
となれば手作り路線だ。ここまでは間違いないはず...。
いや待てよ、高校生も手作り弁当を母親に教わって作る可能性は十分にある...。
考えろ、考えるんだ、私…。
私になら答えは導き出せるはず…。
考えろ、考えるんだ、私…。
ここで私ははっとした。
「Lunch (ランチ)で(彼が真剣に)Koi (恋)する5秒前」で女性サイドが仕掛けている曲なんだろうかと。
こうも考えられる。
「Lunch (ランチ)で(彼女が真剣に)Koi (恋)する5秒前」とも…。
そうなると女性主導なのか、男性主導なのかで変わってくる。
盲点だったと思った。
女性がKoi(恋)する側なのか、それとも男性がKoi(恋)する側なのか。
こんなことであれば、曲を聞いてからキレるべきだったと反省しつつ、貴重な午後の時間をランチを食べずに過ごしてしまったことを疎ましく思う、午後の昼下がりであった。
これじゃあ「ランチがなくなる5秒前」じゃないか。
仕事終わったら家のパソコンで聞いてみよう。
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