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No.3 圧倒的に自由な生き方は、合理的に選んだ道だった

決断シリーズ、今回お話を聞くのは梶本雄一朗さん。

京都大学を卒業し、大手企業、ベンチャー企業と渡り歩いてきた彼は会社員としての生活を捨て、車で生活し、和歌山でみかんを摘んだり、東南アジアでツアーを作ったり、海外インターンシップの現地コーディネータをしたり、富山で草刈りをしたり……。生粋の自由人に見える梶本さんが現在の生き方を選んだ背景について伺いました。

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梶本雄一朗
大阪市大から仮面浪人を経て京都大学へ。当時日本一を目指していた部活の公式戦出場停止を機に海外バックパッカー旅にハマる。その他学生時代にカンボジア小学校建設団体を立ち上げたり、旅人育成企画にて引率など。新卒でリクルートキャリア、その後学生向けのコーチングを土台にしたプログラムを運営する㈱はぐくむを経て、フリーに。一ヶ月に一度拠点を変え、国内では季節労働をしたり、国外ではツアーを企画したりしている。現在は、引きこもりや非行の自立支援をする施設での生活を中心に農業・土方や作品づくりに励んでいる。スシローではえびアボカドが一番好き。


社会では意外と生きていける

_____梶本さんはこれまで、浪人、仮面浪人、就職、転職、退職と多種多様な決断をされてきたと思います。その中で一番大きかった決断はどれですか?

 仮面浪人して京都大学を受験するのを決めた時ですかね。まあ、”大きい”というと、どうしても精神的なことになっちゃうんですが、やっぱり最初の決断やったから大きく感じますよね。その決断が成功体験として残ってるから、それ以降の決断は僕にとってはそんなに大きいとは感じないです。新卒で入社したリクルート辞めるとか、会社員を辞めて生きていくとか、周りから見ると大きな決断に見えることに対しても、全然「よーし!」みたいなのは思わなかったですね。大丈夫やっていう安心感はずっとありました。このメディアの、大きく見える決断も本人にとっては自然な選択に過ぎない、っていうのにはすごく共感します。

_____ありがとうございます(笑) では、退職して今の生き方をしようと決断できた要因はありますか?

えーっと、わかりやすく話すと2つあります。1つ目が仕事をもらう為にスキルを身につけなくてもよくなった、ということ。自分の生き方を見直したときに、スキルは必ずしも必要じゃないと気づきました。もう1つが「意外と生きていけるやん」っていう方法をいくつか見つけられたことですね。気づいてないだけで社会にはいろんなセーフティーネットがあることが分かったんです。

_____1つ目から聞かせてください。

僕、フリーランスを目指してるわけではないんですよね。同じように自由に見える生き方してますけど。フリーランスの考え方でいうとスキルがめっちゃ大事やと思います。仕事をちゃんと依頼されるためには、自分の市場価値をどれだけ高められるかが重要なので、やっぱりスキル重視ですよね。フリーランスじゃなくても、会社辞めたとなるとスキルの向上とか新しいスキルを求めて転職する人が多いんじゃないかなと思います。それが雇われる生き方ですね。

_____それを諦めた。

はい。僕はどちらかというとオーナーになりたいんです。自分で何かを作っていきたい。会社経営という形を取るのか、他の形なのかはまだ分かりませんが。だから僕はスキルよりも経験が欲しいんです。みんなやってないような経験です。スキルは仲間の誰かが持ってたらそれでいいので(笑)

_____スキルよりも経験を重視しているんですね。

プレイヤーになろうとは考えていないので、市場価値としてのスキルよりも経験とかアイデア、人格的なところが欲しいですね。何か作ろうと思うと、経験とかアイデアがあることとか、自分にしかないビジョンがあることが大事やと思ってます。そうなった時に、やっぱり人と違う経験してる方がいいので、色々な経験をしたいです。世の中には思っているよりいろんな仕事やフィールドがあって、その中であまり長くなくていいから、1ヶ月とか自分で実際にやってみて感じるということをしたいんです。僕が今やってることって草刈りとかみかん摘むとか、言い方悪いですけど誰でもできることなんです。草刈りとか3日やったらだいたい出来るようになるし、みかんも1ヶ月毎日やってたらかなり上手くなります。そうなると今の生き方は、僕にとってすごく自然な選択であると同時に、戦略的だとも思います。

_____2つ目はどういうことですか?

セーフティーネットを見つけたっていうのは、一回和歌山でみかん摘んだり、今の仕事をしたりしてみて、全然普通に生きていけるって分かったことですね。なんやったら衣食住ついてくるから可処分所得で言うと、東京で会社員やってた時より全然ある。20代で考えるとむしろ良い方じゃないかなと思います。これで全然オッケーっていう感じです。知らないだけでそういう仕事ってたくさんあります。

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_____将来お金が必要になるかもしれないみたいなことはどう考えてますか?

将来もっとお金かかる問題ですね。これもまた2つ考えてることがあって、1つ目は農業やろうと思ってるっていうことです。要は将来の不安って突き詰めると「家族みんな食っていけるか」って言うところですよね。みんな食べ物作れへんから不安になるんだと思います。食べ物さえ作れたらお金は最悪そんなにいらへんかなと。

_____お金を見ていると言うよりかはその先の生活を見ている感じですね。

確かに、お金はあまり見てない。ちょっとだけ汚い話すると、もし自分が病気になった時も助けてもらえる気がします。そういう関係性を作っていける自信もありますし。将来の不安ってそれが起こった時にどうしたら分からへんから不安になるんやと思うんです。そこに解決策さえあれば不安はあまり感じません。
 あと、もう一つは完全に精神論なんですけど、なんとなくお金持ちになれる自信があるんです(笑) 何事も心が先だという考えは結構信じてます。心が豊かならお金はついてくると。それだけの話ですね。今は貰ってばっかりですが、ゆくゆくは与えるところに行きます。貰ってきた蓄えがあればあるほど与えられるものも増えていくと思ってますし。


アイデアマンじゃない、単に事実をいっぱい知ってるだけ

ここまでの話を聞いていて、私は梶本さんの圧倒的にすごいところに気がつきました。1つは自分が何をしたいか、どう生きたいかと言うところを徹底的に大事にしていること。そしてもう1つはそれを達成する手段を選ぶときの視野が段違いに広いこと。最後に、梶本さんはこの2つをどう身につけてきたのか聞いてみました。


_____その生きたい生き方を徹底的に大事にする思考はどのように培ってきたのですか? ご自身はそれをどう認識しているのかな、と。

僕実は「ほんまにやりたいこと何?」って聞かれた時に、何て答えていいか分からないんです。「そんなん俺無いしなあ」って思います。だから、本質的には「やりたいことがわからない」って言ってる人と変わらないんですよね。でも、細かいやりたいことはいっぱいあります。それを実際にやってみてるだけですね。確かに、自分にもそう言うのがあると思ってた時期もあります。団体立ち上げてカンボジアに小学校建てた時とかです。でも、それも今考えると全然チャレンジではなかったと思います。どちらかというとトライに近かったですね。周りから見るとそう見えたらしくて、だから自分でもほんまにやりたいことなんやとその時は思ってたんですけど、全然そんな大きいものじゃなかった。個人的な考えとして「ほんまにやりたいことは何やろう?」ていう質問を自分にいっぱいしたところで、あんまりいい答えは出ないと思っていて、だからそれは僕にとってあんまり”良い問い”ではないですね。

_____生き方を選んでいく上での視野の広さはどういうふうに身につけたのですか?普通に生きていると、お金から離れて生活を考えることは難しいと思ってしまいます。

これに関しては単純に知識の問題やと思います。いろんな生き方を知識として人よりたくさん知っているだけですね。ほんまにいろいろなジャンルの人と会ってきたので。僕あまり拒まないんです。ヒッピーみたいな人とも楽しくやるし、コンサルでバリバリ働いている同級生とかとも仲良いです。だからいろんな人に出会えたんですね。本もたくさん読んできたし、SNSで流れてくる記事とかもたくさん見てきました。僕の好きは方程式で「アイデア=事実×事実」っていうのがあるんです。いっぱい事実を知ってるからアイデアがどんどん出てくる。僕は単に事実をいっぱい知ってるだけです。

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【編集後記】
誰からも、自由な生き方をしているように見える梶本さん。会社員という身分を捨てて今の生き方を選んだと言うので、相当の覚悟を持って大きな決断をしたのかと予想していましたが、そこにあったのはあくまで梶本さんにとって自然な選択でした。インタビュー後、梶本さんが語ってくれた言葉が印象的でした。

こういう、決断をできた環境にフォーカスして喋るのって面白いですね。どうしても精神論で喋っちゃうと、天才というか、特別な人に見えちゃうんです。直感で動いてるように見えて、僕めっちゃ合理的なんですけどね(笑) 僕が話すことについても、昔は「俺あんまり怖がらへんタイプやねん」とか言ってたんですけど、よく考えたら単に知識多いから怖くないだけやねんな、と。

違う世界に生きているのかのように見える梶本さん。彼の考え方は、皆さんにとって決断の助けになるようなエッセンスに溢れていました。

【ライター】
前原祐作

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