けちゃっぷ氏
フリー画像から思い浮かんだ短編物語を書き綴るシリーズです。 良くある物語だけれど、探すと意外と見つからない。…みたいな王道の物語を書いていきます。
【生命の木】 その木は、朝焼けの中にのみ姿を現す。 大陸の東端、水平線から昇る朝日を臨める場所にその木はある。 その木は、生命の象徴である。 葉は万病を治す薬となる。樹液を撒けば、未来永劫痩せることの無い土地が生まれる。 根、葉、樹皮の一片に至るまで、全てが生命で溢れている。 しかし、その木の姿を見たものはいない。 葉で煎じた薬を飲んだ者もいない。 樹液を土地に撒いた者もいない。 根、葉、樹皮の一片をも持ち帰った者はいない。 大陸の東は人の踏み込める場所ではないか
「今日もお勤めご苦労さん…と。」 パンッ!と乾いた発砲音と共に吸血鬼の眉間に銀の銃弾が撃ち込まれる。 そこかしこに巻き上がる炎、立ち昇る煙、森の木々を焼く一見香ばしくも感じられる匂いが辺りを埋め尽くす。 炎に明るく照らされ、深夜にも関わらずまるで昼間かと見まごう程の森の中、レティは吸血鬼の命を刈り取った事を確認すると、愛銃を肩に担ぎ、もう興味はありませんとばかりにクルリとそれに背を向けた。 「コイツも「知らなかった」か…。」 小さく舌打ちをし、その場を立ち去ろうと
頬を撫でる風が冷たくなってきたのを感じ、僕は浅い眠りから覚めた。 日は傾き、そろそろ夕暮れかと言う頃合いだ。起き上がり、軽く伸びをすると目の前に地面に突き立った1本の剣がある。 伝説の剣。 僕のおじいさんのそのまたおじいさんくらいの人が、世界を救った勇者様の為に打った剣らしい。 今は、この剣を振るう事のできる勇者様を探す為に、一時的に僕の剣となっている。 赤く染まりつつある太陽の光を受けて煌めく姿は、とても僕なんかには釣り合わない程に神々しくて、堂々としている。 柄
よろしくお願いします!!