🍎(詩)ここから見える景色
毎日の同じ作業
時計にでもなったようだ
サボってタバコを吸いに行く
右を向けば人が詰め込まれた箱
左を向けば…
枯れかけたススキと麒麟草が揺れる
昔は沼地だった場所
赤トンボが群れをなして飛ぶ
時折見える朱色の葉
沼地の中心にある不規則な木々
森と呼ぶにも林と呼ぶにも小さく
何本かの枯れかけた木が立ち並ぶ
目の前にある光景だと言うのに
人の気配はなく静寂が支配する
唯、生い茂ってありのままの姿
誰の手もくわえられず
止まったままの世界
不自然に置かれた椅子
あんな所に誰が座るのか
タバコの灰が落ちる
いつまでもサボるわけにはいかず
結局、また箱の中に戻る
左に行ってあの椅子に腰をかける
そんな生き方もあったと言うのに
不規則な思いを抱いたまま、
また、一定のリズムで短針を追いかける