詩)生きるという事
今、この瞬間にも終わりに近づいて
過ぎ去る時間は取り戻す事は叶わず
人は終焉へと向かう歩みを止める事は出来ない
誰もが知り、誰も知る事のない“死”
“死”は悲しみを引き連れ
そこらを我が物顔で闊歩する
身近な者の死は
遠くの者のそれより尊く
顔も知らない者の“死”ならば
箱の中のテロップに流れて
右から左に消えて行く
まるで陽が昇り、また沈むかの様に
私は生を貪る
終わる事などないかのように
惰性に貪り消費される日々
この生に意味などあるのだろうか
意味などを求める事すら愚行に過ぎぬと言うのか
それでも私は生きる
今日という日をその価値を探すでもなく
ただ有り体に生きて
最後は名もなき肉塊へと変わる
生きるという事は
喜び、怒り、悲しみ、楽しむ事
生きるという事は
その全ての営みが私であるという事
残された時間を知ったとしたら
私は私のままでいられるのだろうか
いや、どの様に振る舞ったとしても
それは全て私なのだ
格好をつけたとしても
独り哀しみを背負ったとしても
春の訪れを感じる日差しの中
現実という箱を覗いてみれば
“生きる”という問いが
そっと私の肩を叩いた
トントンと言葉も放たず
気難しい顔をして