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SS)捨て猫みたいに

あの日以来だね
もう1週間もなんの連絡もなくて
あの日がサヨナラなんじゃないかって
寂しさに肩を叩かれていたんだ。


あまりにも真っ直ぐな眼差しに
僕の気持ちを見透かされているようで
なき続ける君の愛おしさに負けて
思わず抱きしめてしまったけど
あれはあの日だけの事なんだ。

いくら嬉しそうに側に来られても
もう、君に触れる事は出来ない。


抱きしめた君は見た目よりもずっと華奢で
辛い日々を過ごして来たんだねって
少し悲しくなった。


今日はプレゼントを沢山用意したのに
君はそんなものは喜んでくれなくて
何度も猫撫で声で僕に甘えてきた。
僕の手を甘噛みしたりして悪い子だ。


嫁が留守の時に家に入りたいってなかれても
玄関を開けられなかった僕を許して欲しい。
我が儘かもしれないけど
君とは外でしか会えない。

嫌いになったわけじゃないんだ。
本当は大好きなんだ。
あいつなんかよりもずっと可愛いい。
それでも長い付き合いのあいつを
今更、捨てるわけにもいかないんだ。
だから、君とは暮らせない。

悲しい顔をせずにわかってくれないか
そんなに僕の事を困らせないで欲しい。
もう、僕の事は忘れて欲しい。
僕も君の事は忘れるから。














ウチにはトラが居るから
2匹目は飼えないんだよ。

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