見出し画像

詩)最後の晩餐

明日の朝にこの星が死んでしまう

今日の夕食が最後の晩餐となった
憔悴し切った嫁の顔を見ると
最後の晩餐と言えども喉を通らず
沈黙を恐れ独り言の様な会話を続けた

翌朝はけたたましい警報に起こされ
眼前には阿鼻叫喚の景色
暗い空には大きな石の塊が糸を弾きながら
迫って来ていた

映画のような現実が私を壊した

目の当たりにした現実が夢の中のようで
自分の事なのか他人事なのかもわからなかった

腹の虫が鳴いた
ああ、どうせすぐ死んでしまうなら
残さず食べておけば良かった

明日の為など、すでに必要もないのに
それでも体は諦めず生きる為に警鐘を鳴らす
己の欲深さと生命の偉大さに
謝罪と感謝を繰り返しながら
そっと目を閉じた


この記事が参加している募集

スキしてみて