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いつもよりほんの少し 黒がぼやけた夜は 光の筋の中を流れる白い粒が 生きているかの様で不規…
死んでもまだ金がいるのか 川を渡るのに六文 金がなければ服を剥取られて 裸にされて 生きてる…
分厚い雲で覆われた空が何処までも続く 仄暗い世界は寒くも暖かくもなく 雨も降らずに強い風が…
いつかの日々を古い映写機が カタカタと音をたてながら写す フィルムの残りもあと僅か いつか…
青々と茂った葉の隙間から光が差し込み この世界に陰陽を生む 力強く天に向かう大木の下 色と…
慌ただしく流れる日々も 短調なリズムで打ち出される鉄も 代わり映えのしない毎日 古い映写機…
幼き日に捕まえた虫 暴れる命をその手で押さえ込み もげてしまった脚 破れてしまった羽 奪ってしまった身体と自由 罪悪感はすぐに消えて 捕獲した優越に浸る 小さな命は 足をもがれても 羽をもがれても 生への執着を捨てず その灯火が消える迄 もがき続ける 幼子は罪の重さを知る由もなく 笑顔のまま次の犠牲者を探す 小さな命は 叫ぶ事も赤い血を流す事もない 償う事なく時は過ぎて 無邪気な罪人はいつの間にか 大人になっていく 今、手の中にあるものは 叫びもすれば赤い血も流す
なんで兎の目は赤いの? なんで鳥は空が飛べるの? なんで泣いてるの? なんで怒ってるの? な…
雨上がりの道に 幾つもの水溜りが出来て 幼子がはしゃぐ 靴が汚れてしまう事など お構いなし…
辛くても悲しくても 口から出るのは嘘ばかり いったい誰に悟られたくないのか 何故、強く在り…
星は輝く 美しさを誇るわけでも 悲しみに寄り添う為でもなく 星はその存在を人に知らせる 星…
ほんの少しの過ちが 冷たい金属の上を 生暖かい赤となって流れ 沸騰した感情は ゆっくりと冷め…
真っ黒に塗りつぶした画用紙に 赤い線を一本引いてみた 赤は目立つ 周りの黒に浮き彫りにされ…
些細な出来事が 何処かに当たったのか 何かを引っ張り出したのか 隠れていた感情を そこらにぶちまけた 狭い部屋の中で 息継ぎもできぬ程に 溢れ出した感情は 今にも天井に届きそうで 簡単に溺れて 苦しさにもがき 悲しみに沈む 手足をバタつかせてみても 叫んでみたとて 何も変わらずに 光はどんどんと失われ 目を閉じる事もなく 辺りは帳を落とした 水槽の様な部屋の中で 口から出た空気の泡が 上へ上へと登って行く 水面で泡沫となった言葉が また、一つ弾けては 感情のない顔が笑う