米国株決算マン2世(米国企業決算から見るビジネス最前線)

投資とビジネスに役立つ、決算データで見る注目企業動向。 2020年6月にStraine…

米国株決算マン2世(米国企業決算から見るビジネス最前線)

投資とビジネスに役立つ、決算データで見る注目企業動向。 2020年6月にStrainerファミリーに。2023年6月に初代決算マンから交代、ストレイナーの米国記事を掲載しています。

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Microsoft 3Q決算!クラウドからソフトウェアまでAIが成長を牽引中

マイクロソフトが4月25日、2024年1〜3月期決算を発表。同社においては第3四半期にあたる。 売上高は619億ドル(前年比17%増)に拡大し、営業利益も276億ドル(同23%)と堅調。株価はこの一カ月で5.4%ほど下がったが、決算発表後の時間外株価は4.6%上昇した。 サティア・ナデラCEOはプレスリリースで「CopilotシリーズがAI革命の新時代を指揮している」と豪語。あらゆる職種や業界において、ビジネスの結果を改善していると付け加えた。 新たな決算を読み(聞き)

    • メタ・プラットフォームズ1Q決算!損益堅調もAI投資拡大を表明、株価は急落へ

      メタ・プラットフォームズが4月24日、2024年1〜3月期決算を発表。売上高は365億ドル(前年比27%増)、営業利益は138億ドル(同91%増)だった。 増益基調が続く中、メタ社の株価はこの一年間で138%もの上昇。ところが決算後の時間外株価は、執筆時点で15%以上の急落となっている。理由の一つは、4〜6月の売上予想が365〜390億ドル(前年比14〜22%増)と減速が見込まれるためだ。 もう一つ今後を大きく左右しそうなのが、同社の「投資サイクル」。過去数年は短尺動画「

      • テスラ 1Q決算!販売台数減少の中リストラ表明、新型車種の発売は前倒しへ

        電気自動車メーカーのテスラが4月23日、2024年1〜3月期決算を発表。売上高は213億ドル(前年比8.7%減)、営業利益は11.7億ドル(同56%減)となった。 業績悪化がすでに織り込まれていたこともあり、時間外株価は目下13%もの上昇中。イーロン・マスクCEOが語る今後の展望に、気持ちを揺さぶられる投資家はまだまだ少なくないようだ。 マスクCEOが語る成長戦略の中心には、自動運転と新型車種がある。ロボタクシーの展開も間近に迫っており、人型ロボットの開発も進める。果たし

        • TSMC 1Q決算:スマホ軟調もHPC牽引、下期は売上復調見込むが粗利率悪化へ

          半導体ファウンドリ最大手のTSMCが4月16日、2024年1〜3月期決算を発表。 復調期待が大きく高まった前四半期と比べると売上・利益ともに減少し、決算発表翌日の株価も4.9%の下落。生成AIの盛り上がりとともに関連する需要が高まっているが、会社全体を上向かせるには至っていない。 とはいえ、結果を断ずるのは時期尚早と言える。大きな割合を占めるスマートフォン向けは、業績が軟化した最大の要因。パソコンやサーバー向けにおいては、生成AIの台頭がこれ以上ない好機になりつつある。

        Microsoft 3Q決算!クラウドからソフトウェアまでAIが成長を牽引中

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        • 月刊 米国株決算祭り
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          Netflix 1〜3月決算:有料会員続伸も時間外株価は下落、今後の成長持続は可能か?

          Netflixが今朝方、2024年1〜3月期決算を発表。売上高は93.7億ドル(前年比15%増)、営業利益は26.3億ドル(同54%増)だった。 足元の成長は力強いが、2024年の売上成長率は「13〜15%」に落ち着く見通しを表明。昨年から始めた「ペイドシェアリング」(アカウント共有対策)による売上成長が一巡する見通しが固まり、時間外株価は目下4.9%の下落となっている。 それに加えて注目を集めているのは、「2025年1〜3月期より先は有料会員数と会員単価(ARM)の定常

          Netflix 1〜3月決算:有料会員続伸も時間外株価は下落、今後の成長持続は可能か?

          ウォルマートとの連携で急成長!”レシート買取”アプリの老舗「Ibotta」が新規上場

          米国で人気のキャッシュバックサービス、Ibotta(アイボッタ)が近くニューヨーク証券取引所への新規上場を果たす。 2012年に創業した同社を立ち上げたのは、なんと法律家出身の起業家だ。イエール大のロースクールまで通ったにも関わらず、「自分のやりたいことではない」と考えて起業家に転身。法律とは真逆の世界に見える”レシート買取アプリ”を立ち上げることになった。 今ではレシート買取にとどまらず、名だたるブランド企業を巻き込むプラットフォームへと成長。2023年には営業黒字かも

          ウォルマートとの連携で急成長!”レシート買取”アプリの老舗「Ibotta」が新規上場

          創業約10年でARR1,000億円超!セキュリティベンダー「Rubrik」が新規上場

          2013年創業のセキュリティベンダー、Rubrikが4月1日に新規上場に向けた申請書類を提出した。 まず目につくのは事業規模の大きさだ。ARR(年次リカーリング収益)は直近で7.8億ドルを超え、前年比47%もの拡大。ホーム・デポやペプシコ、ゴールドマンサックスなどの大手企業も顧客として名を連ねている。 2014年1月末時点でのネットリテンションレートは133%にのぼり、既存顧客からのアップセルも強力だ。その一方で2024年1月期の決算は、売上高6.3億ドルに対して営業損失

          創業約10年でARR1,000億円超!セキュリティベンダー「Rubrik」が新規上場

          2023年後半から大変貌!AIインフラ向けソリューションの「Astera Labs」が上場

          AIインフラ向けソリューションを手がけるAstera Labsが三月、ナスダック市場への新規上場を果たした。 同社を創業したのはジテンドラ・モハン(Jitendra Mohan)。インド工科大で電子工学を学び、スタンフォード大で修士課程を修了した経歴の持ち主だ。半導体企業のテキサスインスツルメンツを経て、2017年にAstera Labsを立ち上げた。 業績推移を見ると、2023年6月までの損益は非常に心許なかったことが分かる。ところが、2023年後半には大変貌。この間に

          2023年後半から大変貌!AIインフラ向けソリューションの「Astera Labs」が上場

          創業19年、今なおユーザー数が増加中「Reddit」が新規上場

          コミュニティサイト運営の「Reddit」が3月、ニューヨーク証券取引所への新規上場を果たした。同社は2005年に設立され、多様なトピックを網羅していることで知られる。 2021年の「ミーム株」騒動において、その中心にあったプラットフォームこそがRedditだ。上場に先立って、同社の人気フォーラム「r/WallStreetBets」で同社を空売りすることへの投稿が話題に。 設立から20年近くが経っているRedditだが、今なお通期黒字化は果たしていない。2023年10〜12

          創業19年、今なおユーザー数が増加中「Reddit」が新規上場

          コロナ禍乗り越え株価急騰!積極出店を進める「Kura Sushi USA」の現在

          回転寿司チェーン「くら寿司」の米国法人、Kura Sushi USAが株式市場での注目度を高めている。4月4日に発表された決算で、2023年11月〜翌2月の売上高は5,730万ドル(前年比30.5%増)だった。 くら寿司は2009年、カリフォルニア州アーバインに米国初となる店舗を出店。Kura Sushi USAとして2019年にナスダック市場へ上場、コロナ禍を乗り越えながら事業を拡大してきた。 未だ完全な黒字化には至っていないものの、株式市場における評価はうなぎのぼりだ

          コロナ禍乗り越え株価急騰!積極出店を進める「Kura Sushi USA」の現在

          カスタマイズ型の上場企業データベース「Finboard」をリリースしました

          おはようございます。今回は、運営元である(株)ストレイナーから新サービス開始のお知らせとなります。 当社では2017年から経済メディア運営を開始し、2020年に米国株決算マンがグループインしました。2023年6月には先代決算マン氏が退社することになりましたが、会社としては粛々と記事の制作を続けてまいりました。 決算記事を執筆する上で土台とも言えるのが、各企業の決算データの収集です。長年をかけて「秘伝のタレ」のように管理してきたスプレッドシートを活用してきましたが、新たな企

          カスタマイズ型の上場企業データベース「Finboard」をリリースしました

          収益体質へ変貌した「ServiceNow」ARR100億ドルを目前、生成AI活用へ本腰

          SaaS企業をめぐる評価が成長から収益へとシフトする中、かえって大きな躍進を遂げた企業がいくつかある。その一つが、ITサービスマネジメントプラットフォームとして始まったServiceNowだ。 かつて粉飾会計によって倒産したペレグリン・システムズでCTOを務めたフレッド・ラディが2004年、50歳を目前にして創業。自宅オフィスの一台のノートパソコンから始まったServiceNowは、今や世界を代表するSaaS企業の一角を成している。 加えて目覚ましいのは、業績の改善だ。2

          収益体質へ変貌した「ServiceNow」ARR100億ドルを目前、生成AI活用へ本腰

          世界規模ネットワークを強みに成長!クラウドEDIのパイオニア「SPS Commerce」

          今回取り上げるのは、クラウドEDIを提供する米国企業のSPSコマースだ。 SPSコマースは1987年に創業。当時の社名は「St. Paul Software」だった。事業売却などを経て2001年には「SPS Commerce」に変更、クラウドEDI領域を開拓しながら成長してきた。 売上高が右肩上がりに伸びていることに加え、収益性も向上。営業利益率は2017年には3.8%だったが、2018年に10.8%へ上昇。その後は15%前後を維持しつつ、2023年には売上成長を加速させ

          世界規模ネットワークを強みに成長!クラウドEDIのパイオニア「SPS Commerce」

          売上成長を加速した老舗ソフトウェア企業「オラクル」独自のクラウド事業が牽引

          テクノロジー企業の「オラクル(Oracle)」が株式市場での評価を高めている。3月11日に新たな決算を発表後、株価は急騰。この一カ月間での上昇率は20%に迫る。 オラクルは長く高収益企業としての地位を享受してきたが、ビッグ5(Apple、Microsoft、Amazon、Alphabet、Meta Platforms)などと比べると地味な存在だ。成熟したエンタープライズ向け企業として認識している人が多いのではなかろうか。 一方で同社は、アメリカンドリームを体現する企業でも

          売上成長を加速した老舗ソフトウェア企業「オラクル」独自のクラウド事業が牽引

          ナイキ 3Q決算!成長鈍化で株価低調、パリ五輪を見据えホールセール戦略強化へ

          大手スポーツ用品メーカーのナイキが3月21日、2023年12月〜翌2月期決算を発表。売上高は前年比0.3%増の124億ドル、営業利益は同じく5%減の14億ドルだった。 このところ、株式市場におけるナイキの評価はふるわない。株価は2021年11月にピークをつけ、その後は低調。依然として復調の様子は見えない。それでも時価総額は目下1,422億ドルにのぼり、株価収益率は27.6倍。業績に対して特に評価が低いという水準ではない。 ジョン・ドナフーCEOは決算発表で「第3四半期(1

          ナイキ 3Q決算!成長鈍化で株価低調、パリ五輪を見据えホールセール戦略強化へ

          一年で株価五倍超え!大量のビットコインを抱える謎企業「マイクロストラテジー」

          株式市場における急騰銘柄として、最近よく目にする企業の一つが「マイクロストラテジー」だ。同社の業績を見ると、気がつくことは二つある。 まず一つは、売上が減少の一途をたどっていること。もう一つは、2021年から2022年にかけて巨額の損失を計上していることだ。2023年にも売上高は6億ドルに満たないが、時価総額は260億ドルを超えている。 どう見ても業績が悪いにも関わらず、どうしてこれほどの時価総額がついているのか。答えは極めてシンプルで、大量のビットコイン(21万BTC)

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