米国株決算マン2世(米国企業決算から見るビジネス最前線)

投資とビジネスに役立つ、決算データで見る注目企業動向。 2020年6月にStraine…

米国株決算マン2世(米国企業決算から見るビジネス最前線)

投資とビジネスに役立つ、決算データで見る注目企業動向。 2020年6月にStrainerファミリーに。2023年6月に初代決算マンから交代、ストレイナーの米国記事を掲載しています。

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SBCメディカルグループHDがナスダック上場、その来歴と事業モデルを解説

「湘南美容クリニック」などで知られるSBCメディカルグループHDが、米国ナスダック市場への新規上場を果たした。 湘南美容外科クリニックは、2000年に開院した「藤沢院」が始まり。立ち上げた当初から「日本で一番患者が来てくれる美容医療グループになる」と決め、積極的な拡大方針を実行に移した。 SBCメディカルグループはクリニックとFC契約を結び、経営コンサルティングやマーケティング支援を提供。かつて高額で手が届きづらかった美容医療も、現在では多くのクリニックが提供することで一

    • Adobe 3Q決算、生成AIへの投資継続も業績堅調。動画生成AIを年内にベータ公開へ

      Adobeが9月12日、2024年6〜8月期決算を発表。売上高は前年比11%増の54億ドル、営業利益は同じく17%増の20億ドルだった。 決算発表後の時間外株価は執筆時点で8.9%の下落となったが、サンタヌ・ナラヤンCEOは依然として前向きだ。三か月間に稼いだフリーキャッシュフローが20億ドルを超えるなど、収益性の高さはテクノロジー企業の中でも折り紙つきだ。 クリエイティブクラウド、ドキュメントクラウド、エクスペリエンスクラウドの各分野で生成AIの活用も進める。今回の記事

      • HPE、AIサーバー受注が続伸。ソブリンAIとエンタープライズ需要でさらなる成長へ?

        株式市場ではイマイチ注目度が高まらないが、隠れた(?)AI関連銘柄となりつつあるのがHPE(ヒューレット・パッカード・エンタープライズ)だ。 HPEは2015年に旧ヒューレット・パッカードの分社化で誕生。パソコンやプリンタに特化するHP Incに対し、HPEはサーバーやストレージ、ネットワーク製品を扱う。2021年のデータだが、サーバー市場シェアはDellに次いで二番目に大きい。 売上高は全体として横ばいだが、足元では拡大傾向だ。9月4日に発表された2024年5〜7月期決

        • NVIDIA2Q決算、売上・利益ともに続伸。新技術への引き合い強く粗利率も上昇中

          NVIDIAが8月28日、2024年5〜7月期決算を発表。売上高は前年比122%増の300億ドルと、前回決算で掲げた会社予想を上回った。営業利益は同じく174%増の186億ドルだった。 この半年間で株価は62%、直近一か月でも12%以上上昇した。時価総額は約3.1兆ドルにのぼり、株式市場の期待は高まり続けている。決算発表後の時間外株価は、執筆時点で6.7%の下落となった。 ジェンスン・フアンCEOは「世界中のデータセンターがフルスロットルでAIインフラへの移行を進める中、

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        • 月刊 米国株決算祭り
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          動画会議ツールのZoom、株価低迷も現金積み上がり75億ドル。AI機能で打開なるか?

          動画会議ツールを手がける米Zoomが8月21日、2024年5〜7月期決算を発表した。売上高は前年比2%増の11.6億ドル。営業利益は同じく14%増の2億ドルだった。 会社全体の成長率が横ばいとなる中、株式市場における評価は低迷。年初来株価は12%以上も落ち込み、時価総額は186億ドルとなった。決算発表後の時間外株価は執筆時点で2.9%ほどの上昇となっている。 安定したキャッシュフローにより、現金同等物と投資有価証券の合計は75億ドルに拡大。今のZoomには、年間16億ドル

          動画会議ツールのZoom、株価低迷も現金積み上がり75億ドル。AI機能で打開なるか?

          ブラジル成人の56%が利用するデジタル銀行「Nu」貸付拡大で利益も株価も上昇中

          中南米を席巻する次世代デジタルバンク、Nu Holdingsが目覚ましい成長を続けている。2024年4〜6月の売上高は28.5億ドル(前年比52%増)、純利益は4.9億ドル(同117%増)へと拡大した。 創業者CEOのダビド・ベレス氏はゴールドマンサックスなどを経て、セコイア・キャピタルでパートナーを務めた経歴の持ち主。2013年にNubankを創業、今ではブラジル成人人口の56%がアカウントを持っている。 Nu社の成長は、大きく三つの原則から成り立っているとベレス氏は言

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          ショピファイ、決算後株価急騰。オフライン、B2B、越境などテーマにさらなる成長へ

          Shopifyが8月7日、2024年4〜6月期決算を発表。売上高は前年比21%増の20.5億ドル。営業利益は2.4億ドルだった。発表当日の株価は18%高と急騰した。 ハーレー・フィンケルスタイン社長は「今回の突出した成果を説明するのが待ちきれない」と興奮した様子で語った。同社は一年前に物流事業の減損損失を計上、巨額の営業赤字に陥っていた。その後は黒字化し、拡大基調を続けている。 物流事業を除けば、Shopifyの売上高は前年比25%の増収。売上総利益はそれ以上に伸びており

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          伝説的CEOが再興戦略を進めるウォルト・ディズニー、株式市場が悲観的な理由

          ウォルト・ディズニーの株価が低迷している。 コロナ禍ではテーマパーク事業が大打撃を受け、前CEOの肝いりで動画配信サービス『ディズニープラス』を打ち出した。有料会員を急激に伸ばしたものの黒字化は遠く、やがて株式市場も失望させた。 2022年末には前々CEOのボブ・アイガーが復帰し、経営の立て直しを進めてきた。筆者の気のせいかもしれないが、同社の開示資料は見た目と構成がNetflixに似てきた。そこに記された今後の方針は、大きく四つある。 一つ目は映像スタジオの再建。二つ

          伝説的CEOが再興戦略を進めるウォルト・ディズニー、株式市場が悲観的な理由

          ウーバー、需要堅調で増収増益。自動運転との提携期待も高まる

          Uberが8月6日、2024年4〜6月期決算を発表。売上高は前年比16%増の107億ドル。営業利益は同じく144%増の8億ドルだった。 配車サービスとデリバリー事業がともに好調で、トップラインが拡大。収益性も改善したことで、ダラ・コスロシャヒCEOも「超力強い結果だ(super strong results)」と自慢げだ。 コスロシャヒCEOは、市場関係者にとって「二つの大きな疑問」を想定。アナリストとの質疑応答の前に、自らその問いに答えた。 一つ目の問いは、Uberプ

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          スーパーマイクロ決算、売上急伸も利益率低下、肥大化する「AI工場」の行く末やいかに

          スーパーマイクロコンピュータが8月6日、2024年4〜6月期決算を発表。売上高は53億ドル(前年比143%増)と急伸したが、営業利益は3.4億ドル(同51%増)にとどまった。 スーパーマイクロが主に手がけるのは、生成AIを大規模に取り扱う際に必要となるサーバーなどのハードウェアの製造販売。もっとも重要な部品であるプロセッサはNVIDIA等から仕入れるため、そもそも利鞘は薄くなりやすい商売だ。 それにも関わらず、半年前に利益が増大したのは、生成AIをめぐる需要がそれだけ急激

          スーパーマイクロ決算、売上急伸も利益率低下、肥大化する「AI工場」の行く末やいかに

          パランティア、決算好調で時間外株価急騰。CEOの愛国心あふれるポジショントーク

          ソフトウェア企業のパランティアが8月5日、2024年4〜6月期決算を発表。売上高は前年比27%増の6.8億ドル。営業利益は同じく十倍に増え、1億ドルを突破した。 株価はこの一カ月で一割強の下落だったが、決算発表後の時間外株価は執筆時点で12%の上昇。下落分を取り戻すことになりそうだ。 「過去の台本はもうワークしない」そう豪語するのは、パランティアのCEO、アレックス・カープ氏だ。「これまで(過去の台本を)信じ込んでいた人ですら、このことを知っている」と皮肉った。 世の中

          パランティア、決算好調で時間外株価急騰。CEOの愛国心あふれるポジショントーク

          Amazon 2Q決算:ジャシーCEOもAI戦略を熱弁、「一つの製品が牛耳る」未来はない?

          Amazonが8月1日、2024年4〜6月期決算を発表。売上高は前年比10%増の1,480億ドル、営業利益は同じく91%増の147億ドルだった。 アンディー・ジャシーCEOは「いくつもの方面で前進を続けているが、AWSの加速よりも顕著なものはないかもしれない」と主張。多くの企業がITインフラをクラウドに移管し続けるのに加え、生成AIをめぐる機会が成長を後押ししている。 足元の増益は、コロナ後に推し進めてきた物流効率改善による影響が大きい。今後の売上・利益の見通しは株式市場

          Amazon 2Q決算:ジャシーCEOもAI戦略を熱弁、「一つの製品が牛耳る」未来はない?

          Apple 3Q決算:「AI戦略」が始動!次の時代も”王位”を維持できるか?

          Appleが8月1日、2024年4〜6月期決算を発表。売上高は前年比5%増の858億ドル、営業利益は同じく10%増の254億ドルだった。 ティム・クックCEOは売上高が会社予想を上回ったことをアピール。第3四半期の売上高として、24の国と地域で過去最高を更新した。決算発表後の時間外株価は、執筆時点で約0.7%の上昇となっている。 このところAppleは、AIに関する新たな方針を次々と打ち出した。今のところユーザーが利用できる状態にないが、Appleの戦い方をうかがい知るに

          Apple 3Q決算:「AI戦略」が始動!次の時代も”王位”を維持できるか?

          Meta Platforms2Q決算:予想上回り時間外高騰、AIからメタバースまで進捗を熱弁

          メタプラットフォームズが7月31日、2024年4〜6月期決算を発表。売上高は前年比22%増の391億ドル、営業利益は同じく58%増の148億ドルだった。 7〜9月期の売上予想は385〜410億ドル(前年比12.7〜20%増)と、堅調な見通しも示した。決算発表後の時間外株価は、執筆時点で7.4%の高騰となっている。 マーク・ザッカーバーグCEOは「Meta AIは年末までに、世界で最も使われるAIアシスタントになる」と豪語。各サービス群の日次利用者数が32.7億人(前年比7

          Meta Platforms2Q決算:予想上回り時間外高騰、AIからメタバースまで進捗を熱弁

          マイクロソフト決算:クラウド&AIが牽引、四半期の営業利益は脅威の4兆円超え

          マイクロソフトが7月30日、2024年4〜6月期決算を発表。売上高は前年比15%増の647億ドル、営業利益は同じく15%増の279億ドルだった。 2020年頃、「マイクロソフトの営業利益は毎月日本中の豆腐が降ってくるのと同じ」とツイートしたことがある。当時は四半期に150億ドルを稼いでおり、ドル円も100円強。豆腐の国内市場規模が5,000億円ほどであることに引っ掛けたジョークである。 それが今や、円安もあいまって月に1.4兆円もの営業利益を稼ぎ出している。国内パンの市場

          マイクロソフト決算:クラウド&AIが牽引、四半期の営業利益は脅威の4兆円超え

          Alphabet 2Q決算:クラウド売上が100億ドル超え!自動運転Waymoに50億ドルを追加出資へ

          アルファベットが7月23日、2024年4〜6月期決算を発表した。 売上高は前年比14%増の847億ドル。営業利益は同じく26%増の274億ドルだった。依然として増益基調が続くが、決算発表後の時間外株価は執筆時点で2.2%の下落となっている。 サンダー・ピチャイCEOは足元の好業績について、検索とクラウドの堅調さを強調。事業の各レイヤーにAIを活用していることもアピールした。 生成AIをめぐる熱狂が始まって一年以上が経過した。クラウド基盤から大規模言語モデル、アプリケーシ

          Alphabet 2Q決算:クラウド売上が100億ドル超え!自動運転Waymoに50億ドルを追加出資へ