米国株決算マン2世(米国企業決算から見るビジネス最前線)

投資とビジネスに役立つ、決算データで見る注目企業動向。 2020年6月にStraine…

米国株決算マン2世(米国企業決算から見るビジネス最前線)

投資とビジネスに役立つ、決算データで見る注目企業動向。 2020年6月にStrainerファミリーに。2023年6月に初代決算マンから交代、ストレイナーの米国記事を掲載しています。

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Amazon 3Q決算:ストアや広告などで収益続伸、AWSのAI事業は年商数十億ドル規模に

Amazonが10月31日、2024年7〜9月期決算を発表。売上高は前年比11%増の1,589億ドル、営業利益は同じく56%増の174億ドルだった。 ピークシーズンである第4四半期へと差し掛かる中、アンディ・ジャシーCEOは万全の体制を整えていることをアピール。「プライム・ビッグ・ディール・デイ」などの大型のショッピングイベントや、新型のKindle端末ラインナップを発表。期待を上回るほどの人気を集めているという。 さらに今後も、多くのアップデートを予定しているという。ク

    • Meta Platforms 3Q決算:Meta AI利用者は月5億人超え、2025年は設備投資さらに拡大

      Facebook、Instagramなどを傘下にもつメタ・プラットフォームズが10月30日、2024年7〜9月決算を発表。売上高は前年比19%増の406億ドル、営業利益は同じく26%増の174億ドルだった。 マーク・ザッカーバーグCEOは「製品、事業が力強いモメンタムで良い四半期だった」と強調。「AIと未来のコンピューティングに関するビジョンの一部がより鮮明になった」と付け加えた。 今では32億人を超えるユーザーが、毎日メタ・プラットフォームズのアプリを少なくとも一回は開

      • Microsoft 1Q決算:Azure OpenAIは半年で利用倍増、開発者向けAIもアップデート続々

        マイクロソフトが10月30日、2024年7〜9月期決算を発表。売上高は前年比16%増の656億ドル、営業利益は同じく14%増の306億ドルだった。 サティア・ナデラCEOが強調したのは、やはりAI周辺の事業進捗だ。AIビジネスの売上高は次の四半期、年間100億ドルペースに達する見通し。これは、マイクロソフトの歴史においても史上最速であるという。 現在のマイクロソフトを後押ししているのは、AIだけではない。世界中、大中小さまざまな企業がクラウドへの移行を進めており、大手テク

        • アルファベット3Q決算:GeminiのAPI利用が急伸、クラウド事業の利益成長も続く

          Google、YouTubeなどを傘下にもつアルファベットが10月29日、2024年7〜9月期決算を発表。売上高は前年比15%増の883億ドル、営業利益は同じく34%増の285億ドルだった。 スンダー・ピチャイCEOはAI時代を勝ち抜くアルファベットの優位性を三点に集約した。強力なAIインフラ、ワールドクラスの研究組織、世界中に何十億人というユーザーを抱えていることだ。 今年はデミス・ハサビス氏らGoogle DeepMindの幹部がノーベル化学賞を受賞。ピチャイ氏は、同

        Amazon 3Q決算:ストアや広告などで収益続伸、AWSのAI事業は年商数十億ドル規模に

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        • 月刊 米国株決算祭り
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          Tesla、業績復調で株価上昇。2026年にサイバーキャブ量産で「とてつもない」成長へ?

          電気自動車メーカーのテスラが10月23日、2024年7〜9月期決算を発表。売上高は252億ドル(前年比7.9%増)、営業利益は27億ドル(同54%増)だった。 売上、利益がともに成長基調を取り戻しつつあり、株式市場における評価も高騰。執筆時点における決算発表後の時間外株価は12%の上昇となった。 テスラは先日、『We, Robot』と題したイベントを開催。サイバーキャブ(ロボットタクシー)やロボバン(ロボットバス)、オプティマス(人型ロボット)などをお披露目し、進捗をアピ

          Tesla、業績復調で株価上昇。2026年にサイバーキャブ量産で「とてつもない」成長へ?

          Netflix 3Q決算、売上拡大も「広告事業」の貢献はまだ先。株式市場の評価は高騰

          Netflixが10月17日、2024年7〜9月期決算を発表。売上高は前年比15%増の98億ドル。営業利益は同じく52%増の29億ドルだった。 最も重視する「利用者のエンゲージメントが好調だった」と経営陣はアピールした。オーナー世帯における会員あたりの視聴時間が前年比で拡大。ペイドシェアリング(アカウント共有対策)を考慮したエンゲージメント指標であるという。 今後の成長に向けた打ち手である広告事業も進捗している。広告付き会員は前四半期から35%増え、アドテクプラットフォー

          Netflix 3Q決算、売上拡大も「広告事業」の貢献はまだ先。株式市場の評価は高騰

          Webマーケツール群で成長「Semrush」既存顧客へのアップセルなどで収益拡大中

          今回取り上げるのは「Semrush」という会社だ。Webマーケティングの世界では知らない人はいないであろう、同名のツールを提供する企業である。 立ち上げたのは、今もCEOを務めるオレグ・シュチェゴリフ(Oleg Shchegolev)。子供時代からの友人ドミトリー・メルニコフ(Dmitry Melnikov)との共同創業だ。メルニコフは同じくCOOを務めている。 ともにロシア出身で、シュチェゴリフはサンクトペテルブルク工科大学を卒業。2008年に創業してから調達した資金は

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          鳴物入りのCEOが突如退任!デジタルフィットネス企業「Peloton」の現在

          タブレット付きの高価なフィットネスバイクで一世を風靡した「Peloton」を覚えているだろうか。一年前に取り上げたときと同じ書き出しだが、そのくらい同社への注目度は薄まったように思える。 結局あれからも、同社の経営は万全とは言い難い。サブスク事業のスペシャリストとして期待されたバリー・マッカーシー氏は今年5月にCEOを退任。ボードメンバーの二名が共同で暫定CEOを務める非常事態に追い込まれた。 長期的に会社を率いる人物なくして、戦略を立てることは難しい。株価は低迷し、時価

          鳴物入りのCEOが突如退任!デジタルフィットネス企業「Peloton」の現在

          当時ベジタリアンが創業した米国の鶏肉チェーン「Wingstop」異例の急成長中

          米国の飲食チェーン、ウィングストップ(Wingstop)が目覚ましい成長を続けている。 「チキンウィング」といえば、米国のバーやレストランでは人気の前菜、あるいは酒のつまみだ。鶏の手羽先や手羽元を焼くなり揚げるなり、ソースに絡めて食べる「バッファローウィング」も人気だ。 そんな中で、チキンウィングに特化して急成長する飲食チェーンこそがウィングストップだ。2023年には売上4.6億ドル、営業利益2.8億ドルに拡大。時価総額は現在120億ドルを超えている。株価は年初来70%近

          当時ベジタリアンが創業した米国の鶏肉チェーン「Wingstop」異例の急成長中

          バークシャーも投資した「シリウスXM」再編で資本関係を整理。今後の成長性は?

          米国企業のシリウスXMが、株式市場で低い評価を受けている。 と言っても、大抵の人は「どんな会社?」と疑問に思うに違いない。企業としての来歴は以前記事化したが、ざっくり言うと「世界有数の音声エンタメ企業」。衛星ラジオのシリウスとXMが統合して生まれた会社で、2019年には『パンドラ』を買収した。 業績自体は一見堅調だ。前年比では弱含んでいるものの、2023年の売上高は89.5億ドル。営業利益は19.5億ドルだった。ただし負債は大きく、2024年6月末時点での純資産はマイナス

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          SBCメディカルグループHDがナスダック上場、その来歴と事業モデルを解説

          「湘南美容クリニック」などで知られるSBCメディカルグループHDが、米国ナスダック市場への新規上場を果たした。 湘南美容外科クリニックは、2000年に開院した「藤沢院」が始まり。立ち上げた当初から「日本で一番患者が来てくれる美容医療グループになる」と決め、積極的な拡大方針を実行に移した。 SBCメディカルグループはクリニックとFC契約を結び、経営コンサルティングやマーケティング支援を提供。かつて高額で手が届きづらかった美容医療も、現在では多くのクリニックが提供することで一

          SBCメディカルグループHDがナスダック上場、その来歴と事業モデルを解説

          Adobe 3Q決算、生成AIへの投資継続も業績堅調。動画生成AIを年内にベータ公開へ

          Adobeが9月12日、2024年6〜8月期決算を発表。売上高は前年比11%増の54億ドル、営業利益は同じく17%増の20億ドルだった。 決算発表後の時間外株価は執筆時点で8.9%の下落となったが、サンタヌ・ナラヤンCEOは依然として前向きだ。三か月間に稼いだフリーキャッシュフローが20億ドルを超えるなど、収益性の高さはテクノロジー企業の中でも折り紙つきだ。 クリエイティブクラウド、ドキュメントクラウド、エクスペリエンスクラウドの各分野で生成AIの活用も進める。今回の記事

          Adobe 3Q決算、生成AIへの投資継続も業績堅調。動画生成AIを年内にベータ公開へ

          HPE、AIサーバー受注が続伸。ソブリンAIとエンタープライズ需要でさらなる成長へ?

          株式市場ではイマイチ注目度が高まらないが、隠れた(?)AI関連銘柄となりつつあるのがHPE(ヒューレット・パッカード・エンタープライズ)だ。 HPEは2015年に旧ヒューレット・パッカードの分社化で誕生。パソコンやプリンタに特化するHP Incに対し、HPEはサーバーやストレージ、ネットワーク製品を扱う。2021年のデータだが、サーバー市場シェアはDellに次いで二番目に大きい。 売上高は全体として横ばいだが、足元では拡大傾向だ。9月4日に発表された2024年5〜7月期決

          HPE、AIサーバー受注が続伸。ソブリンAIとエンタープライズ需要でさらなる成長へ?

          NVIDIA2Q決算、売上・利益ともに続伸。新技術への引き合い強く粗利率も上昇中

          NVIDIAが8月28日、2024年5〜7月期決算を発表。売上高は前年比122%増の300億ドルと、前回決算で掲げた会社予想を上回った。営業利益は同じく174%増の186億ドルだった。 この半年間で株価は62%、直近一か月でも12%以上上昇した。時価総額は約3.1兆ドルにのぼり、株式市場の期待は高まり続けている。決算発表後の時間外株価は、執筆時点で6.7%の下落となった。 ジェンスン・フアンCEOは「世界中のデータセンターがフルスロットルでAIインフラへの移行を進める中、

          NVIDIA2Q決算、売上・利益ともに続伸。新技術への引き合い強く粗利率も上昇中

          動画会議ツールのZoom、株価低迷も現金積み上がり75億ドル。AI機能で打開なるか?

          動画会議ツールを手がける米Zoomが8月21日、2024年5〜7月期決算を発表した。売上高は前年比2%増の11.6億ドル。営業利益は同じく14%増の2億ドルだった。 会社全体の成長率が横ばいとなる中、株式市場における評価は低迷。年初来株価は12%以上も落ち込み、時価総額は186億ドルとなった。決算発表後の時間外株価は執筆時点で2.9%ほどの上昇となっている。 安定したキャッシュフローにより、現金同等物と投資有価証券の合計は75億ドルに拡大。今のZoomには、年間16億ドル

          動画会議ツールのZoom、株価低迷も現金積み上がり75億ドル。AI機能で打開なるか?

          ブラジル成人の56%が利用するデジタル銀行「Nu」貸付拡大で利益も株価も上昇中

          中南米を席巻する次世代デジタルバンク、Nu Holdingsが目覚ましい成長を続けている。2024年4〜6月の売上高は28.5億ドル(前年比52%増)、純利益は4.9億ドル(同117%増)へと拡大した。 創業者CEOのダビド・ベレス氏はゴールドマンサックスなどを経て、セコイア・キャピタルでパートナーを務めた経歴の持ち主。2013年にNubankを創業、今ではブラジル成人人口の56%がアカウントを持っている。 Nu社の成長は、大きく三つの原則から成り立っているとベレス氏は言

          ブラジル成人の56%が利用するデジタル銀行「Nu」貸付拡大で利益も株価も上昇中