しんでれらぼーい。
ねぇ、私さ、高望みしてたのかな。
「私だけを見ててほしい」なんて、贅沢だったのかな。
***
「好きだよ。」
「え?今なんて…」
「だから、君が好きだよって。」
「え、あ、ありがとう。」
「彼女になってくれないの?」
「よ、よろしくお願いします。」
ずっと好きだったあなたからの突然の告白。そんなの断れるわけないじゃない。
***
いつからだろう。私の目の奥を見つめるような眼差しが、他の人に向いたのは。
いつからだろう。わかっているのに、気付かないふりをするようになったのは。
***
私はあなたが好きだった。よく笑うところ。優しいところ。都合が悪くなると気まずそうに頭をかくところ。寝る時に必ず手を繋いでくるところ。
私はあなたが好きだった。これまで出会った誰よりも。でもあなたは違った。ただそれだけの話。それだけの話だもんね。
***
「これ、どう思う?」
「いいんじゃない?」
スマホを触りながらあなたはそう答えた。いつだってそう。あなたは私の方なんてもう見てくれない。
「この前一緒に買った青いワンピースが似合いそう」
「そうだね」と私は笑って見せた。
外に出るとすごい雨だった。
「傘持ってないね。どうする?」
「…よし、走ろう。」
「え?」
「いいからほら!手握ってて!」
あぁ…やっぱり馬鹿だなぁ、この雨の中走ろうとするなんて。違う女の子との話をしちゃうなんて―
私、青いワンピースなんて、持ってないよ。
***
あなたがいなくても大丈夫ってことを証明したかった。見せつけてやりたかった。一方的に、ただ私が必要とされなくなったんじゃなくて、私だってあなたを必要としてないってことを。
でもそれが強がりだなんてこと、私が1番わかってる。でも大丈夫、嘘は上手につくから。
あなたと違ってね。
***
いつものように隣で寝ていた。それなのに、0時を回ると、見慣れたはずのその背中がなんだか知らない男の人に見えて―
気持ち悪かった。
家を飛び出した。ただ走った。私の中で渦巻く感情を、目をつぶると思い浮かぶあなたの笑顔をかき消すように。
***
「見て!このサンダルかわいい!」
「しかもめちゃくちゃ軽い!」
「ほんとだぁ!」
「え、めちゃくちゃ似合ってる!買いなよ!」
あなたと一緒に買った白いサンダルは、あんなに軽いねって笑いあったのに、嘘みたいに重くて―
上手く走れなかった。
もっと遠くに行ってしまいたいのに。
***
私じゃないなら好きなんて言わないで。そんな目で私を見つめないで。優しい言葉をかけないで。最後の最後まで、私の大好きなあなたでいようとしないで。
死んで。
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