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11.まやかしの中にある日常

夏の初めの昼下がりの休日。
わたしは夫と中学生の息子のために、遅めの昼食を作っている。
何気ない家族の日常。
その「何気なさ」を守るために
わたしは随分普通?の人間らしくなってきたなと、少し自分を笑った。


何気なく出会ったオトコ。
子犬のように震えていた夫は、
世界を諦めの眼差しで見つめていたわたしに、

「結婚して欲しい」

と言った。
夫は、親とも疎遠で、友人も少なかった。
今まで恋人がいたことはなく、
30代にして童貞だった。
自分が汚れで成り立っている魔物のように感じていたわたしは、自分と伴侶になりたいと言う人間が現れるとは思っていなかった。
とても驚いた。
驚いた先に自分のエゴが生まれた。
「この、孤独な人を救えるのかもしれない」
大きなエゴだった。

わたしは夫を導いて挿入させた。
夫は入れた瞬間果てた。

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