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第16章 裏切りの街

 ノックが私の護衛のためというよりは監視のため同行し街まで帰還した。私はノックにランマークラブでゆっくりするように言い、ママに言って話し上手な熟練の子をあてがってもらい、少尉の真意やこのたびの蜂起の詳細について探りを入れてみることにした。大抵の人間は飲ませ食わせ抱かせればべらべらと心の奥をしゃべり出すものである。街の洗練された女にかなり感激したようで、事後に高級ワインや寿司で女の子に接待させると、案の定気を許してべらべらしゃべり出したことは、バンコクのデモはたいした盛り上がり

    • 第15章 李少尉との再会

       李少尉がいよいよいけなくなったとの村長からの連絡で、彼に会いミャンマーへの鍾乳洞のルートが実際使えるものかどうか聞いておきたいと思い村に出向いた。障子を開けると床に伏せっており、両脇には10代と見える少女が彼を挟むようにして横になっていた。「若い女子から気をもらっているのですよ。こうして添い寝してもらうだけで若さが老体に染み入ってくるのです」下半身が御簾の陰になって見えないが首を伸ばしてのぞき込むと、以前この村に来て最初の晩に伽をしてくれたあの妖艶な女性が少尉のものを背面騎

      • 第14章 男児誕生

         そうした中、無事にダーオは男の子を産み、その子はタナートにも私にも似ていなかった。まあそういうこともあるのかもしれない。色が白くてもっと北の人のような顔に見えたが、別にランチャーンはいろんな民族の血が混じっているから、取り立てて問題にする人もいなかった。北から来た昔のランマー人の顔が出たと言う人もいたぐらいである。研究会の総会にランマー主義者の主だった人々、大学教授、元貴族その他前回集まった人の多くが参加して王子の誕生を祝いその子を抱くダーオに、国母様として敬意を表しお祝い

        • 第13章 チョンマイ心中

           日本人の遺書には毒親に対する恨み辛みと、悔悟がない交ぜになったものだった。 この遺書を残して二人はスパのジャグジーの中でペニスを挿入したままでしっかり抱き合い、死んでいた。ママが特別にこの部屋にだけ仕掛けた隠しカメラで録画されたものを見てみると、今日が最後の日と決めていたようで思い残すことがないように3度もしていた72才で3回も出来るものだな、90分をダブルで3時間の予約を入れていたから、3回も出来て発見も遅れたのだ。最後はジャグジーの中で彼女の口技で彼のものを立たせ、自ら

        第16章 裏切りの街

          第12章 雨のデモ

           今年の雨期はやけに長い。空はどんよりとして小雨がぱらつく。それにこの2~3日で気温も下がり、皆長袖のパーカーのようなものを着て、もう長い雨期にうんざりした表情をしている。例年なら雨期と寒期の間にインディアンサマーのような小暑期があり、プールや郊外のレジャー施設が賑わい、皆憂鬱な雨期が終わった喜びの顔で溢れるのだが。今年はこのままだと雨期が終わった後にいきなり寒期が来る気配である。バンコクもほとんどが雨に濡れた集会やデモであり、その上警察の高圧放水車から水をかけられるのだから

          第12章 雨のデモ

          第11章 過激派は誰

           ママから連絡があり、「今日三時にシャングリルホテルで会うことになった」とのことであった。私はママに「携帯のカメラをできるだけベッドを写せる位置に立てかけておいてください」と頼んだ。「撮影したものを絶対に外に出さないと言う約束が出来るのなら」と言い、「私は撮影や録音はしないで私一人が楽しむだけだよ」言ったら、「社長も好きですね、私も今日は目一杯いきまくって、社長のパンツがカウパーでぬれぬれになっても替えは持って行きませんよ」と笑っていた。やがて3時になり私は遠隔操作でカメラを

          第11章 過激派は誰

          第10章 ランマークラブ

           日本で言うヘルスのようなところで、しかし部屋はもっと広いし、防音なども考えてしっかり作ってある。ジャグジーを備えたVIP用の特別室もある。元の実際のオーナーは日本人だが、みかじめ料を出し渋ったので、調べたら労働許可証も取っておらず不法就労と言うことで入管に連絡し、国外退去処分となり私が簒奪した格好になった。ママさんが昔日本で働いていたらしく、行儀作法や心遣い、ベッドテクニック等を教育してもらっているので店の評判も良く、結構流行っていた。新人が来てママさんの教育が終わると最初

          第10章 ランマークラブ

          第9章 系図の簒奪

           ランマー第12代女王のプラナームピン様は、もう75歳というのに、その容色はまだ50代に見えるかもしれない、若い男の精液を毎日吸収し、中国の若返る漢方薬も飲んでいると聞いている。しかし子供がいないので誰か王朝の血を引くものを皇太子として立てなければならない。今のところ候補者の筆頭はタナートで五代前の王の血を引くと言われているが、その系図も財をなした父親が大金で買ったものだという噂がある。多数いる取り巻きの少年達よりも彼のものが大きく、性技にもたけ女王を喜ばせているので房事の後

          第9章 系図の簒奪

          第8章 ランマー主義者

           ランマー主義の秘密会議が開かれた。今日は私たちも出席することになりいつものアナントーレホテルの宴会室に集まった。そこに教祖様が一段上の玉座のような所に座っている。ランマー主義を標榜する教授連中とその教え子達、タナートと私たち夫婦、高校生徒会連合、大学自治会、元貴族等総勢百名ほどにも成るだろうか。このホテルは完全に防諜システムが中国領事館からチームが派遣されて施されているので、中の様子はスパイでも潜り込ませない限り分からないのだ。表向きはランマー王朝の正当な血筋を継ぐ今壇上に

          第8章 ランマー主義者

          第7章 中国の工作

           翌朝食事の時に「中国は北ランチャーンどのようにしたいと思っているんだね」と聞いてみた。  「雲南省第一主席の意向は親雲南のランマー王国の再建を目指しているようです」「やはりそうか中国の力を頼むようじゃ、事が成ったとしても、混乱に乗じて彼らがこの国に干渉し、この国の基幹産業である農業も彼らの利益になるように変えられてしまうのでは。今より暮らしはもっと悪くなる可能性があるよ。セックスカルトのままでいた方がまだましなくらいだ。私たちでセックスカルトの精神世界の理念を作りそれに留ま

          第7章 中国の工作

          第6章 バンコク政治集会

           翌朝妻は1日休暇を取って、タナートとバンコクの集会に参加するとのことであった。タナートも演説をするらしい。夜はテント村に泊まるのでセックスなど出来ないとのことだが、いつも高級ホテルを利用する彼にそんなことが出来るのだろうか、TVにも出ると思うと言って出かけていった。私はいつも通り出勤し、認知症爺のワンパターンな足跡をたどった後、この前学生連合の仲間として生徒会長が連れてきて団結の誓いをした名門校のエリーを呼び出すことにした。今日は妻も帰らないので私の家に来るようにいい早めに

          第6章 バンコク政治集会

          第5章 ボンチャノック村にて

           あの日本人殺しからしばらくして、あの穴から時折人声のようなものが聞こえてくるようにり、関わった村人6人で村に伝わる死者を弔う儀式をやったのだが、止まないので一人が命綱をかけて降りてみたところ、白骨死体が10体ぐらいあり小銃や機関銃等が山積みされた倉庫のようになっているとのことで、見てみてくれとの写真がスマホに送られてきた。私はその武器が日本製の古いもので、ビルマから敗走してきたときにその穴に戦友や武器等を投げ捨てたか、あるいはこの洞窟は本当にビルマまで通じていてそこで力尽き

          第5章 ボンチャノック村にて

          第4章 入会の儀

           その日集まったのは、最高指導者と、幹部のタナート(生徒会長の兄、私の妻の恋人)私Jと妻のダーオ、生徒会長のジェーンと恋人のタク、その他4人のインターナショナルスクールの生徒達である。最高指導者はカーテンの裏にいるようである。幹部のタナートがこれよりJ夫妻の同志参加の儀を行いますと言った。始めるがよろしかろと意外にもしわがれた女性の声がカーテンの陰から聞こえてきた。タナートは私たち全員にワイングラスに入った液体を振る舞った。全身に気がみなぎるような感じがしてきた。そして私たち

          第4章 入会の儀

          第3章 USBメモリ

           バンコクに発した民主化要求のデモはますます拡大し、この街にも及んできた。6人が通うインターナショナルスクールの過半の人がリボンをつけ3本指を立てる集会に参加していたところ、突如警官隊がなだれ込み30人あまりの逮捕者が出た。彼らの学校からも8人が拘束されたのである。その中に団結を誓った6人のうちの2人が含まれていることが分かった。生徒会長から「なんとかならないか」との電話があったが。「これは警備公安の連中がやったことでなかなか難しいがまだ正式には逮捕されていないので説諭だけで

          第3章 USBメモリ

          第2章 勉強会

           その後、署に出勤しモニター室で外人のスマホ追跡の任務をやっていたが、昨日会ったカフェでの学生の女の子がどんな様子か知りたくなった。もう昼前なのに学校へ行っていない。どっかの家へ集まって勉強会かなと思ってカメラのスイッチを入れてみると、教科書をほっぽり出し男女3人ずつ、3カップルが皆お互いにキスし合っている。 そしてお互いのあそこを服の上からまさぐるようなことをし始めた。昼間からなにやっとんじゃと昨日の自分のことは棚に上げながら、生活安全課へ連絡しようとも思ったが、ここは自分

          第2章 勉強会

          Ccity 第1編 第1章 スマホ追跡

          kero4 2021/07/26 13:39 (8月4日更新) この物語はフィクションです。以下16章まで登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。 つづら折りの山道を1台のバイクが登って来る。音は近づいたり遠ざかったりを何度か繰り返して、ようやく木の葉隠れに崖の下に姿を現した。パナマハットに黒いナップザックを背負っている。あそこからここまで

          Ccity 第1編 第1章 スマホ追跡