誰かの夢を叶えるのが夢
「採用実績が増えたね」
障がい者の就労を支援する現場で、障がいを抱えながらも就職活動をしていた方の採用が決まったときに、事業所の社長から掛けられた言葉の中で最も頭にきたフレーズです。
がんばったのは障害を抱える方であって、それを支援者や事業所の実績だと捉えるのは、個人的に気に食わなかったのです。
とは言え、障がい者福祉事業所には、就職させた人数によって行政から助成金が受け取れるシステムが存在するので、社長として嬉しい部分があるのも分かってはいます。
それでも、実績という数字ではなく、一人の人間が社会に羽ばたく瞬間を素直に喜びたいのです。
ちょうど今日も、2名の方に企業からの採用通知を伝えた瞬間、憑き物が落ちたような、満面の笑顔がありました。
彼らに「おめでとう」を伝えたくて近づくと、私よりも先に彼らから「ありがとう」と言われてしまいました。
嬉しく思う反面、私は苦しくもありました。
もっと何か出来たのではないか?と。
何度も何度も書類選考や面接で不採用を告げられるたびに、彼らは社会に受け入れられない自分を嫌悪します。
決して、彼らは社会から排除されるようなことはしていないのに…。
何度も何度も相談を受け、彼らとともに障がいというものに向き合い、無力感を感じる日々。
それでも、彼らは自分の力で立ち上がり、自らの手で採用を掴み取ったのです。
こちらが「おめでとう」を言う権利があっても、彼らに「ありがとう」と言われることを、私は出来ていない…。
苦しく、悔しい気持ちがあるから、もっと彼らに負けないようにがんばろうと思うのです。
誰かの夢を叶えるのが夢というのは、傲慢なことなのかもしれません。
しかし、自分事として考えられるくらいに誰かの夢を叶えるための労力をかけなければならないのが、福祉職ではないかと思うのです。
今現在も、さまざまな夢を掲げる方の支援をさせていただいています。
パソコンのスキルを磨いて資格を取りたい。
プログラミングを学んでみたい。
起業してみたい。
障がいのある自分だから出来る支援をしてみたい。
一緒に歩む中で私自身が磨かれる日々です。
どんな夢にも伴走して、最後のゴールテープは彼らの力で切ってほしい。
就職が決まった方の晴れやかな顔を見させていただいて、改めて夢について考えさせられました。
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ということで、最後までお読みいただきありがとうございました。
今回の投稿は以上です。
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