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言葉選びで関係性が決まる
日本語は高コンテクスト文化だと言われています。
「高コンテクスト文化」とは、言外の意味を察して理解するコミュニケーションで、日本語表現の「空気を読む文化」と言い換えることが出来るかもしれません。
京都の「ぶぶ漬け」や関西圏の「勉強しぃや」などに代表されるように、メタファー表現に現れることもあります。
ですが、そのような特性とは別に、非常に数多くの言語表現も持ち合わせているのが、私たちの用いている言語なのです。
「赤」という色を伝える際、「燃えるような」「くすんだ」「夕日のような」「映える」「血のような」…などと言葉を修飾する言葉も多いですよね。
数年前から、若者の使用する言葉について社会学的に語彙力の低下が叫ばれるようになってきました。
良くても悪くても「ヤバい」で済ませてしまったり、「絶対」という断定的な言葉を濫用したり…。
余談ですが、低コンテクスト文化とされるアメリカなどでも、若者が何でも「cool‼」で済ましてしまうようになっているようですが…。
しかし、親しい友人ならいざ知らず、言語表現が「ヤバい」だけでは心許ない社会に私たちは生きています。
高コンテクスト文化で生きることは、時にちょっとした言葉で品格を問われることも少なくありません。
ということで、今回は言葉について考えてみようと思います。
最後までお付き合いいただけると幸いです。
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個人的に、典型的な日本語表現の矛盾を感じるのが「他者に説明をするとき」です。
例えば、新卒採用者の教育係をすることになったと想像してみてください。
会社の理念や規程、マニュアルや社内人員の情報など、多くの情報を伝えることは、当然に多くの言語を用いることになります。
「我が社の理念は○○で、これは創始者の○○が幼少期に○○を行う中で…」と、正確な情報を伝達することを心掛けると情報量は増加します。
一方で「やってりゃ覚えるから、まずはこの書類のデータを打ち込んで」と、目の前のタスクのみ伝達する場合は情報量が少なくて済みます。
何を伝えるか?
このとき、主観のみで定型的に他者に与える情報量を判断するのは、個人的にはリスクがあると考えています。
「定型的に他者に与える情報量を一定にする」ことは、話し手…伝達する側にとっては楽な作業となります。
定型ですから、口頭でなくてもマニュアルとして渡せば済みます。
ですが、受け手…伝達される側が理解・処理できる容量には個人差があります。
企業などはシステマティックに稼働させることで生産性を維持・向上させる必要があるために効率的という視点で説明を行うことでしょう。
しかし、情報量を一定にすることで、より個人差が生じ、かえって非効率となってしまうことはないのでしょうか?
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上司と部下の関係性では、言葉選びだけでなく、抑揚なども影響を与える要素となります。
上司は日常では柔和な語気で話し、危機意識や成長を促す際には意図的に語気を強めるといった「アメとムチ」を用いることで、部下を心理的に抑えつけるのではなく、比較的自由に成長する余白を設け、主体性を身につけてもらうよう意識することが肝要かもしれません。
注意をするとき、「ほめてから間違いを指摘する」のと「間違いを指摘してからほめてフォローする」のと、どちらが効果的だと思いますか?
アメリカのミネソタ大学で心理学研究として文献が記録されていますが、一般的に、相手が心理的防御を取ってしまい注意を受け入れないので、先にほめるべき点をほめた方がよいとされています。
…余談ですが、研究のデータでは「好意を抱く強さ」を調べており、「好意」と「非好意」をどの順番に伝えるのが効果的かを調べ、「非好意→好意」の順で伝えると最も伝えられた側が行為を抱くという結果になったようです。
発する言葉の順番で相手に与える心象が変化するというのも面白いデータですよね。
このように、何気なく日常的に使ってしまう言葉という言語表現ですが、わずかな表現の違いや抑揚、語気、表情といったモノで、印象は大きく変化し、他者との関係性に影響を及ぼすことに、私たちは留意する必要があるでしょう。
…さて、先述の「他者に説明をするとき」、私は相手によって使用する言葉を都度変えています。
説明前に、少しでも対話する機会があるのであれば、そこで相手の思考や性格のクセを探すようにし、そのデータをもとに例示する表現を変えたり、ときには「これやって」だけで済ませるときもあります。
生産性や効率といった点では悪いかもしれませんが、口頭説明をしたあとに「分かりやすい」と評価いただくことがほとんどです。
言葉が伝われば、想いも伝わりやすくなります。
結果として、良好な関係性を構築することにつながると思いますので、今一度、言葉使い・言葉選びについて考えてみてはいかがでしょうか?
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ということで、最後までお読みいただきありがとうございました。
今回の投稿は以上です。
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