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無礼に始まり、礼に終わる
私は障がい者の社会参加、つまりは就労支援を行っている福祉事業所の職員です。
障がい者は、いろいろな理由で社会に適合することが難しく、就労困難者となってしまうことがあります。
自分では仕事が出来る能力があると思っているし、就職したいと思っていても、就職できないことは私たちと同様によくあることです。
本人なりに精一杯の努力をしても結果に結びつかないことが続くと、中には社会に対して不信感を抱いたり、人間不信に陥るケースもあります。
何度も挫け、何度も立ち上がる。
そんな苦労をされた方の一人が、明日から社会の一員として働くことになりました。
最初は、私のことを「あんた」と呼び、無言で睨みつけてきたり、自分の非を認めず威嚇してきたりしていました。
何度も衝突…というか、相手の話から、本当に訴えたいことは何なのかと問いかける中で、逆鱗に触れてしまったこともありました。
シカトされたこともありますし、ケンカ腰で迫られたこともあります。
そのたびに、話し合いを繰り返し、一つずつ、一歩ずつ、抱えている想いを聴かせてもらいました。
わずか10カ月の期間しか一緒に就労に向けて歩むことはありませんでしたが、最後の彼の姿はとても輝いて見えました。
しっかりと背筋を伸ばして、まっすぐにこちらを見て、深々と頭を下げて挨拶をしてくれました。
「お世話になりました」
福祉の世界から一般社会に独り立ちするその先には、きっと多くの苦しみが待っていることでしょう。
理不尽で不条理な世界を生き抜かなければなりません。
ですが、一緒に歩んだ者として、彼なら大丈夫だと信じています。
彼のように、心の奥に繊細で優しい感情を持っている障がい者が、少しでも働きやすい社会にすること。
また、新しい目標をもらった気がしました。
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ということで、最後までお読みいただきありがとうございました。
今回の投稿は以上です。
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