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福祉ビジネスについて考えてみる③

…全然ビジネスについて書かずに第3回になってしまいました(笑)。

今回は外観から具体的な課題まで書き進められるようにしたいと思います。

前回までの記事はこちら☟

上記の二つの記事をまとめると、福祉ビジネスについて語る前に、取り巻く環境の変遷について記し、現行の福祉サービスの体系について書いてきました。

私が採り上げている福祉ビジネスとは、障害者福祉サービスの一つである「就労継続支援A型事業所」という福祉施設のことであり、福祉制度と福祉ビジネスとの間には、いびつなジレンマが存在するということを書き進めています。

モノクロ・スタッフ・女性・従業員・仕事・屋内・店舗

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「就労継続支援A型事業所」では、障害を抱える方と雇用契約を結び、就労を目指して訓練する場となっていることまでを前回お伝えしました。

そこで、キーワードとして「雇用契約を結ぶ」「就労する能力を有している」「福祉サービス」という三つを掲げました。

まず一つ目ですが、「雇用契約を結ぶ」というもの。

あなたがイメージする障害者は、一般企業で働く人たちと遜色なく働ける方でしょうか?

それはどんな障害をイメージされ、どのような職種で働いていることを想定されていたでしょうか?

例えば、聴覚障害を抱えている方が一般企業に就労する際に困ることは何でしょうか?

オフィスであれば指示が聞こえないことや電話対応が出来ないことが考えられそうです。

工場勤務であれば、機械の異音に気づかなかったり、危険を伝えるアラートが分からないかもしれません。

「合理的配慮」という考え方に通ずる概念になりますが、「出来ない作業」があるのであれば、それを補って余りある「出来る作業」を本人と共に模索する必要があります。

一方で、就労の機会から遠ざかっていた方が、再び就労を目指すには、さまざまなハードルが存在します。

職場環境ストレスから「うつ病」となった方が、以前と同じ働き方に戻るには相当な時間と努力が必要ですし、それでも戻らないこともあります。

気分障害から欠勤することもあるでしょうし、統合失調症の躁鬱混合状態から自傷や他害に及ぶことも考えられます。

そういった側面を持ち合わせている方と、それでも可能性を信じて雇用契約を交わすのです。

一般的な企業で考えれば、これは非常にリスキーな採用だと言えるでしょう。

労働・仕事・大工・木工・加工・木の板・研磨・削る・作業

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次に「就労する能力を有している」という部分ですが、就労継続支援事業所は、あくまでも就労…つまり地域や社会への文化的活動として、働くことを目指して活動することが目的です。

一般企業では、有能な人財をいかに自社に留めておけるかが重要だったりしますが、A型事業所では有能で就労する能力の高い人財から地域社会へ旅立っていきます。

これはA型事業所に残る人財が有能ではない、という話ではありません。

採用から育成、評価から卒業までの一連のサイクルをしっかりと組まなければならないということです。

そして、「福祉サービス」なので、生産性や効率化と相反関係にある「障害への配慮」についても、しっかりとシステムとして機能させなければ事業が回らないということです。

「障害者に配慮した就労」という福祉サービスに傾倒してしまうと、生産性が損なわれてしまい、「就労に適した障害者」というビジネスに傾倒した考え方では、障害を抱える方の就労…つまりは社会進出の機会を逸してしまいます。

このバランスをどこで取るのか?

このジレンマは、事業を続ける限り在り続けるのです。

ジレンマ・川・渡る・暗い・橋・人・森

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…と、このような福祉でありながら、ビジネス的な要素も取り入れなければならないのがA型事業所ということです。

次回は、なぜこのようなアンバランスな状態になってしまったのか、数年前に一時的に新規参入の波が押し寄せる事態があったのですが、その背景には何があったのか、そのあたりを書いてみようと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

今回の投稿は以上です。

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