一世一代の大勝負も、朝、まどろみの中で起きることも、たった一つの選択に過ぎない。
私たちは、無意識的に費やした労力と等価の価値を結果に求めます。
テストは、勉強すれば良い点数が取れる。
山登りは、険しい道を乗り越えてこそ、山頂の景色を美しいと感じる。
何時間も煮込んだソースは、料理を至高の一品に変えてくれる。
…これらは「努力は実る」という前提のもとに考えられているものです。
ですが、勉強しても成績が伸びないこともあれば、険しい道を進んだ先が雲に覆われているときもあれば、煮込み過ぎて料理の味を損ねてしまうこともあるのです。
そして、そのようなときに「努力は実らなかった」と、多くの人は嘆くのです。
しかし、肝心なのは「実らなかった努力」をどう捉えるのかだと私は考えています。
次につながる大失敗は、大成功のための最高のスパイスになるのですから…。
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新卒者のキャリアを例に考えてみましょう。
新卒者A、B、Cの三人は、似たような境遇の家庭に生まれ、それぞれに同程度の努力を重ね、同程度のレベルの大学に進学し、同程度の規模の企業に就職したとします。
Aの職場には、尊敬できる先輩がおり、メンターとしてAの成長を大いに助けてくれました。
BとCの職場には、あいにくと尊敬できる先輩がおらず、就職したばかりの時期に抱いていたキャリアプランに早くも影を落としそうな状況に陥っています。
…ここまででは、Aが好待遇に恵まれているように感じることと思います。
職場の人間関係には恵まれなかったBですが、大学時代から培ってきた交友関係や、休日を利用して参加していた地域ボランティアの活動から、仕事以外の時間を充実させることができるようになってきました。
一方で、Cには気の許せる学友も職場の同僚もおらず、職場での扱いに嫌気がさしてしまい、早々に退社してしましました。
…では、これからのCの人生は暗澹たるものとなってしまうのでしょうか?
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仕事を辞めてしまったCは、わずかな貯金を切り崩し、気分転換に海外旅行へと出かけることにしました。
日本を離れ、何の目的もなく放浪を続ける中で、Cは自分の目で世界を知ることとなり、やがて、自分の生涯をかけてやるべきことを見つけ、帰国後にベンチャーを立ち上げ、グローバルな活動を行うようになりました。
…さて、これらのA、B、Cの三人は、空想上の人物です。
彼らは、分岐点となる就職活動において、同程度の努力をし、同程度の将来を得るはずでした。
しかし、結果は、それぞれが比べられるような人生ではなく、その人らしさに溢れた人生となったのです。
このことから学ぶことは何でしょうか?
私は、選択の価値だと思うのです。
どんな選択も、あなたが望む結果ばかりを与えてくれるわけではありません。
何気ない朝の一杯のコーヒーが、あなたの人生を決める要素かもしれませんし、いつも通る道が、あなたの人生を別の方向に舵を切る転換点になるかもしれません。
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さて、あなたは「ジャネーの法則」をご存知でしょうか?
【ジャネーの法則】
ジャネの法則は、19世紀のフランスの哲学者・ポール・ジャネが発案し、甥の心理学者・ピエール・ジャネの著書において紹介された法則。主観的に記憶される年月の長さは年少者にはより長く、年長者にはより短く評価されるという現象を心理学的に説明した。ジャネーの法則とも表記する。
(出典:Wikipediaより)
もう少し解釈までを引用してみます。
簡単に言えば、生涯のある時期における時間の心理的長さは年齢に反比例すると主張したものである。
例えば、50歳の人間にとって1年の長さは人生の50分の1ほどであるが、5歳の人間にとっては5分の1に相当する。よって、50歳の人間にとっての10年間は5歳の人間にとっての1年間に当たり、50歳の人間の10日が5歳の人間の1日に当たることになる。
…これは、時間の長さだけに通ずる概念ではないと感じています。
先述の「選択の価値」も同じなのではないでしょうか?
本人にとって、どれだけ大きな選択であろうと、小さな選択であろうと、それは一つの選択に過ぎず、すべての選択には選んだ結果と次の選択が用意されているのだと私は思うのです。
最終的に、より多くの選択をした者が、より多くの幸福な結果を手にするだけであり、そこに選択の大小はないのだと思うのですが、あなたはどのように感じるでしょうか?
一世一代の大勝負も、朝、まどろみの中で起きることも、たった一つの選択に過ぎない、という話でした。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
今回の投稿は以上です。
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