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「なぜ?」への耐性

製造業などでは、トヨタ生産方式などを参考に、日々の業務について「なぜ?」を3~5回繰り返し、業務のムダを洗い出す…といった風土が広まり、定着しつつあります。

それに倣って、他の業種についても、「なぜ?」という思考法が浸透し、多くのビジネスマンが上司などからの「なぜ?」に苦戦を強いられているのではないでしょうか?

そのうち「なぜなぜハラスメント」略して「なぜハラ」などといった言葉も出てくるかもしれません。

物事に対して「なぜ?」を考えることは大切です。

事象を深掘りすることで、知的好奇心が刺激され、説明のために言語力が向上し、観察力が磨かれるからです。

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世界的に見て、日本人は一人当たりの生産力が少ないそうです。

必ずしも、この「なぜ?」という事象の深掘りの浅さが起因しているとは言えませんが、要素としては大いにあるように感じます。

ところが、「なぜ?」という考えが蔓延すると、一方で私たちは答えなければならない立場に立つ機会も増えていきます。

「なぜ、業務中に私語を話す時間があるのか?」

「なぜ、報連相が必要なのか?」

「なぜ、ショートカットキーを使わないのか?」

「なぜ、全体の流れを把握してから自分の業務に移らないのか?」

…人によって、さまざまな「なぜ?」が浮かんでくると同時に、回答も用意しておかなければなりません。

「なぜ?」の厄介なところは、「問い」と「答え」の両方を考えなければならないところだと私は思うのですが、あなたはどうでしょうか?

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ちょうど今、私は人事評価シートを作成中なのですが、策定した60項目ほどある評価基準のすべてに「なぜ?」と問われることになりました。

…1ヶ月前に作った評価シートなので、覚えていない項目もあるのですが(笑)。

それでも、一つひとつ「なぜ、この項目が必要なのか?」を答え、議論し、ブラッシュアップしては、再び「なぜ?」を繰り返すことが出来ました。

個人的な意見ですが、他者からの「なぜ?」への対策には2種類あると考えています。

一つは、しっかりと考え抜いておくこと。

もう一つは、質問者の心理や立場を考えることです。

心理や立場を考える…といっても、こちらは誰もが一朝一夕で出来ることではないでしょう。

しかし、考え抜くことは今からでも出来ます。

「毎日そのことばかり考えるわけにもいかないし、すぐに忘れちゃうから、考え抜くなんてことは難しいことだよ…」

そんな風に考えていませんか?

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「考え抜く」という言葉を、言葉のままに考えても、考え抜くことは難しいでしょう。

しかし、私たち noter は、日々、考えながら投稿していませんか?

そして、投稿した記事を振り返りながら、今の自分の考えを投影して、新たなアイデアを生み出していませんか?

「考え抜く」ことにおいて、記録することは思考の見える化ですから、いつでも遡って考えを深めることが出来ます。

私は、上記の評価シート作成時だけでなく、常時「記録魔」となっています(笑)。

Excelやスプレッドシートなどで表やグラフを作成するときも、余白に経緯や思考の順序を書き残すので、ぶっちゃけ、人に見せられないデータになることが多いです。

ドキュメントもパワーポイントも同様です。

一見すると、ムダに感じるかもしれませんが、清書には残らない思考の残滓こそが「考え抜く」ためには必要です。

残滓】ざんし・ざんさい
残滓とは、残りかすを意味する言葉である。
(実用日本語表現辞典より抜粋)

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例えば、テレビドラマで科学捜査などのシーンを思い出してほしいのですが、ごくわずかな証拠から情報を洗い出し真実を明らかにする光景は、私たちを惹きつける重要なシーンの一つです。

小さな小さな断片から、その全容を明らかにするには「考え抜く」ことが求められるはずです。

私たちは科学捜査などしませんが、発想は同じです。

ほんの些細な記憶の断片も、記録として残しておけば、そこからイマジネーションが働くことが往々にしてあると思うのです。

見た目にこだわり、最初から無かったものにしてしまうと、記憶をつなぐ一つのピースを捨ててしまうわけですから、思考が断片化してしまいます。

日本語だって、接続詞や「てにをは」が無ければ、ときに言語として成立しないことがあるでしょう。

思考も同じではないのか?

私は、そのように思うのです。

クエスチョンマーク・疑問符・注意・バブル・球体・事実・複製

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「なぜ?」という問いは、私たちの思考を鋭敏にし、豊かな発想を身につける訓練になります。

しかし、問われる側に立った時、果たして「なぜ?」を繰り返すことが良いことなのかと問われれば、私は断言しかねます。

「なぜ?」を繰り返した結果、部下が心労でメンタル不調になったらどうでしょう?

「なぜ、あなたは『なぜ?』を繰り返したのか?」

…実にシュールな問いです。

ですが、実際には「なぜ?」について答えることを求められることも多いと思うので、答えを用意するにあたって、「記憶を記録する」という手法で耐性をつけてみてはいかがでしょうか?

将来だけでなく、過去にだって光り輝く宝物が埋まっている可能性もあると、私は感じています。

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ということで、最後までお読みいただきありがとうございました。

今回の投稿は以上です。

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