【コラム】対立からは対立しか生まれない~中国、反日感情が拡大 日本人学校に次々嫌がらせ~
福島第一原発の処理水への海洋放出をめぐり、中国で反日感情が拡大し、日本人学校への嫌がらせや、嫌がらせ電話などが横行しているという記事を読みました。
この記事を読んで、思い出したことがあります。10年ほど前、中国を旅行したことがありました。中国の留学生と一緒に旅行したのだが、案内をしてくれたのは、留学生の親戚。「日本人と交流したのは初めて」ということでした。
寡黙な男性でしたが、ある話題になると、口火を切ったように話を始めました。それは、日本と中国の歴史問題でした。
彼曰く、日本について、教科書やメディアの報道などで「悪い国」という印象しか持っていなかったとのこと。「そういう教育をずっと受けてきた」といいます。
一方で、旅行で私たちと寝食を共にする中で、彼にも変化が起きました。
当時、記者をしていたので、西日本新聞のコラムでも紹介しました。
処理水放出については、その是非について話せるほどの知識もなく、言及するつもりはありません。「日本の海産物禁輸」を決めた中国側も、守りたいものがあったと思います。ただ、それを、まったく無関係の日本語学校に投石したり、卵を投げたりすることは、決して容認されない行為です。日本でも、朝鮮学校の制服に切りつけたり、佐賀でも日本語学校に通うネパール人に卵を投げつける事件も起きています。
対立がエスカレートすれば、さらなる対立を生みます。こんな時こそ、私は「人をヒトとして好きになる」という理念を声高に叫びたいと思います。お互いの国を嫌い、という感情は、コントロールが難しいです。でも、こんな時期だからこそ、草の根の交流を止めない。それぞれを尊重しあい、認め合う社会づくりを続ける。遠回りのように見えますが、それこそが近道だと信じて―。
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