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朝の逆転

3月24日 朝7時
時計のアラーム音が鳴り響いている。
右手で時計のボタンを探し、アラームを停止させる。
眠い目をこすりながら起き上がり、広々とした部屋を見回す。
キングサイズのベッド、ふかふかのソファ。
私は大きなため息をつき、仕事にとりかかる。

3月25日 朝7時
左手で時計を探し、時間を見る。
習慣とは恐ろしいもので、いつものように目覚めてしまった。
シングルベッドから起き上がり、狭く殺風景な部屋を見回す。
私は解放感に満足しながら、もう一度ベッドの中で眠りにつく。

3月26日 朝7時
時計のアラーム音が鳴り響いている。
右手で時計のボタンを探すが見つからない。
左手で時計を見つけ、アラームを停止させたが、音は鳴り止まない。
いや、これはアラーム音ではなく、スマホの着信音だ。
私は飛び起きた。電話に出ると編集者の大きな声が聞こえてきた。
「先生、執筆進んでますか? せっかくホテルの部屋を確保しているんだから、逃げてもらっちゃ困りますよ」

たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。

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