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星のオムライス

たくさんの星が、まるで灯りのように見える街の片隅に、男が妻と小さなレストランを開いていました。

ある日の夜、男は空を見上げてます。
灯りのように見える星をひとつひとつ結んでみると、オムライスの形になりました。
オムライスは妻の大好物です。
男はオムライスをメニューに加えようと思い、次の朝から何日も試行錯誤をして、新しいオムライスを完成させました。 

オムライスを食べたお客さんは驚きます。
「こんなにおいしいオムライスは食べたことがない」
オムライスは評判になり、お客さんがたくさん来るようになりました。

ある日、ひとりの少女がレストランに入る行列の最後に並んでいました。
行列はなかなか進まず、太陽が沈んでも少女はレストランに入れません。
少女は悲しくなり、大きな声で叫びました。
「こんなに待っても食べられないなんて、ひどいレストランだ」

男はレストランを大きくしました。
大きくなったレストランは、外に行列ができることもなくなりました。

ある日、ひとりの青年がレストランに入り、オムライスの注文をしました。
けれどもオムライスはぜんぜん出てきません。
青年は悲しくなり、大きな声で叫びました。
「こんなに待っても食べられないなんて、ひどいレストランだ」

男は新しく人を雇いました。
働く人が増えたレストランは、お客さんを待たせることなく、すぐに料理を出せるようになりました。

ある日、ひとりの女性がレストランに入り、オムライスを注文しました。
オムライスはすぐに出てきましたが、味がおいしくありません。 
女性は悲しくなり、大きな声で叫びました。
「こんな料理を出すなんて、ひどいレストランだ」 

男は新しい機械を買い、誰でも男と同じ味の料理が作れるようにしました。

ある日、ひとりの老人が具合の悪い足を引きずりながら、レストランへ向かいました。
けれども、老人の住む家からそのレストランはすごく遠く、やっと着いた時にはすでにレストランが閉まっていました。
老人は悲しくなり、大きな声で叫びました。
「こんな遠くにあるなんて、ひどいレストランだ」 

男は街にたくさんのレストランを出店し、街中の人が、男の作ったオムライスを食べることができるようになりました。

ある日の夜、男と妻は空を見上げてます。
星を見ながら、男は今まで妻に何もしてあげていないことを、悔やんでいました。

男は妻にたずねます。
「指輪をプレゼントしようか?」
「旅行に行こうか?」
「大きな家を建てようか?」
妻は黙って首を振るばかりです。

男は困ってしまいました。 
「何か欲しいものはないのかい?」
すると妻は答えました。
「私はあなたの作ったオムライスが食べたいわ」

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