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神様時計

人間の数だけあるという、膨大な量の時計を前に、うさぎはあっちへ行ったり、こっちへ行ったりしていた。
「最近なんだか忙しいなぁ」
大きさや形、色はバラバラだが、どの時計も1から12までの数字が書いてあるのと、針が一つしかないことは共通している。
「あの時計、もう11まで進んでいる」
うさぎの仕事は、針が12まで進んだ時計を神様に知らせることだ。
時計が何を意味しているのかを、うさぎは知らない。
分かっているのは、針が12を指したとき、その時計の持ち主に何かよくないことが起こるということだけだ。
「この間見たときは8を指していたのに、ずいぶん進みが早いなぁ」

「今日で終わりにしましょう」
あるところで、女が男に別れを告げていた。
男は突然のことにとまどい、怒り、そしてなげき悲しんだが、女はそれをすべて無視して、男から去っていく。
どこかで時計の針が動く音がしたが、別の男のところに行くのに夢中だった女の耳には、届かなかった。

たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。

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