フォーク神様
男はその人生で悪の限りを尽くし、「悪魔に魂を売った」と周りにうそぶいていた。
ある日、男がひとりで部屋にいるとき、背後に何かの気配を感じ振り向いた。
そこには、先端が三つに分かれた長い槍のようなものを持った大きな猫がいた。
「もしかして悪魔か?」
「とんでもない、私は神ですよ」
「神だって? だったらその槍はなんだ。どう見たって悪魔が持ってる槍だろう」
「あぁこれですか。フォークですよ」
「フォークだって? そんなに大きなフォークをいったい何に使うんだ」
神を名乗る猫は困った顔をする。
「使いかたを知りたいんですか?」
「あぁ知りたいね。悪魔じゃなく神様だって言うなら、そのフォークの使いかたを教えてくれよ」
「仕方ありませんね。こうやって使うんです」
猫はその大きなフォークで、男の身体をまっすぐにつらぬいた。
身体をフォークでつらぬかれた男は、息も絶え絶えに言う。
「…なんで……あんた神様だろ」
「えぇ、私は神ですよ。死神ですけどね」
たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。
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