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夏が来ていた。

気がついたら8月になった。

日常が止まって、もうずっと閉じ込められたような世界にいる。

ちょっと前まで桜は咲き誇っていて、新緑の季節はつい昨日のようなのに、梅雨は長引きすぎてよく分からない。一応開けたらしい。そんなこんなで数ヶ月が経った。

ここ2ヶ月ほど本業がなかなかに忙しくて、考えたことを残しておきたいなと思いながらも、その元気があんまり出なかった。積読も溜まるばかりで、読みたい気持ちはあるのに数ページぱらぱらとめくるだけで閉じてしまう。YouTubeとかTwitterとか、あまり労力を使わないで消費できるコンテンツばかりに傾いていた。

そんな感じで、大袈裟にしんどいわけではないけれど、この2ヶ月何をやっていたのと聞かれると返答に困る。両肩には常に石ころがふたつみっつ乗っているような、小さな疲労感。倦怠感。

毎日、喜怒哀楽や思考があるはずなのに、それがあまりにもわたしの中に残っていなくて、なんだかなあ、空虚に感じてしまうなあと思っていた。

もっと、雨上がりの匂いのくすぐったさとか、水出し緑茶を飲んで美味しいと小さく声を漏らしたこととか、昨年の誕生日振りに連絡した友人が元気だったこととか、近所の小学生がランドセルを背負って追いかけっこしている様とか、そういうことに気持ちよく心が動く日々でありたい。

そんなことを考えていた帰り道。「あ、夏が来てるじゃん」そう思って、持っていたiPhoneを空に向けた。たぶん笑顔だった。

夏が来たことを嬉しがれることは、幸せだなと思った。

夏が来て嬉しかったことを書き残しておこうと、思った。

サポートをいただいたら、本屋さんへ行こうと思います。