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背伸びする遠い景色を見たくなり大人びたくなりキスをしたくなり | 今月の短歌 #2

創作の学校みたいに屋上のタンクの上から空にのぼりたい

キャッシュレス時代の隅で悲しんだ十円入れて動き出す象

ただいま、を待ってましたのアレクサと黙って留守を預かるガジュマル

人前で泣くのをやめたあの人の胸の奥底 赤い湖

休憩と言って煙草を吸う人のわたしが持ち合わせてないずるさ

漱石が愛の異名にしたせいで素直に褒められ慣れてない月

でもきっと生きていくってこんなもんごみ出しの曜日忘れないとか

僕の好き全部ためしてくれた君の好きはひとつも知らないままで

もう十月という事実と木犀と人肌恋しさ混ぜたのが秋

背伸びする遠い景色を見たくなり大人びたくなりキスをしたくなり

***

今月も詠みました。

慌ただしく日常生活を送っている時はなかなか短歌が出てこないですね。反対に一度リズムができると、比較的ぽんぽんと浮かんでくる。

最近は一日に数分でも良いので、何か短歌にならないかなと思いを巡らす時間をつくるようにしています。

詠み始めて2ヶ月が経ち思うことは、わたしが短歌で見たい景色はたぶん、少し寂しく鈍い色をした人の営みや恋愛模様なのかなということ。

普通に言うのは少し照れ臭いものを、三十一文字のリズムに乗せて。

ただ、好きでやっているから、趣味だから、別にそれほど気にしなくても良いとは思うのですが、なんというかこう、「インスタントに表現できる」みたいな手軽さに溺れてしまいたくはないなと思います。


それから、インプットがより大切だろうということで、というより、短歌を読むのが楽しすぎて、歌集や詩集をいくつか本棚に招き入れました。そちらのお気に入りについても、今度まとめたいなと思います。

サポートをいただいたら、本屋さんへ行こうと思います。