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淡々と

いつも何気ない会話で涙する。突然に。脳にダメージを受けたことによる後遺症だ、脳血管障害。感情失禁。感情をコントロールできなくなっている。

思ったとおりに言葉を発することができず、体調の悪さを上手く伝達することことができない。歯痒さが表情から伝わってくる。

病いを患い長い年月が経ち、病いを抱えながらも体調は安定してはいるが、ご本人はずっと体調の悪さをわたしに訴えてくる。「何かおかしいと」。

何かおかしいというばかりで、今まで具体的な症状を訴えることはなかった。

そんな状態が何年も継続していたが、先日、初めて「頭がすっきりしない」ということを訴えてくる。言語化できたと言ってよいのだろうか。それとも今まで言葉にしなかっただけなのか。言葉にしたことで一気に表情のコントロールを失い、涙が溢れる。そして、痙性反射がおこり身体の緊張度が高まる。

こちらは、淡々と麻痺した身体をケアしながら、小さな小さな変化が現れた部分を指摘し、少しでも安心感を受け取ってもらえるように努める。

淡々とできることを継続していくのみ。



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