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『アーカイブズ通信』#4「アーキビストを目指して②」


 2019年4月に別府大学に入学した私は、アーカイブズ学の第一人者である針谷武志教授の研究室をノックし、アーキビストを目指している旨を伝えました。


 すると先生からは、「まずは、くずし字を読めるようになるところからだね。アーカイブズの理論的なモノは講義で扱う参考文献などを読むといいよ。」と優しく声を掛けてくださいました。言われた通りに私は、くずし字辞典を購入し、アーカイブズに興味・関心のある学生たちが集まっている「別府大学アーカイブズ・史料学研究室」に入り、別府大学アーカイブズセンターにある古文書を少しずつ読んでいくことを始めました。
 また、講義の合間には図書館でアーカイブズの理論的な書籍や論文を読んだり、大学院生がやっている史料整理のお手伝いをしたり、アーカイブズにどっぷりはまっていく学生生活を繰り広げていきました。

 それと並行して、「別府と言えば、温泉だよね~♪」ということで、温泉愛好会という温泉サークルの活動にも積極的に参加し、別府の共同浴場の歴史や文化に触れたり、地域の人たちとの交流が深まっていくにつれ、別府のことが大好きになりました。

 そうこうしていると、あっという間に1年生は終わりを迎え、2年生になる頃には地域での活動が増えていき、展示会、執筆、歴史講座などを中心とした地域に向けたアーカイブズのアウトプットを研究や学内の勉強とは別に、学外活動として展開してきました。

 学外活動として、地域に向けたアーカイブズのアウトプットをしてきた私は、地域の温もりや尊さを感じ、「別府」という地域がここまでに至るのにどういった歴史的背景や文化的背景があるのだろうか、仮に私がアーキビストになれたとして、どういった形で貢献できるだろうか、色々と考えが浮かび上がり、「地域史料」にフォーカスしたアーカイブズ学の研究をしたくなりました。地域史料いわゆる地域アーカイブズというのはその地域のアイデンティティそのものであったりするので、それを専門的に扱うことができるアーキビストは必要不可欠です。

 私は、こういった「地域に根付く」アーキビストになれるよう、大学院で研究をし、公文書館でアーキビストとしてキャリアを積み、「認証アーキビスト」を取れるようにしようと決意しました。3年生の時には、アーキビスト養成課程の「アーカイブズ実習」を履修していたため、別府大学アーカイブズセンターはもちろん、中津市で行われるアーカイブズ講座にも参加させて頂き、より現場の空気を体感することができました。また、アーカイブズの現場を知り尽くしているOBの方たちが可愛がってくださり、古文書の勉強会を実施してくださるなど、たくさん支えて頂きました。4年時には、大分県公文書館での実習があったり、3年生の実習でTAを務めさせて頂いたり、多くのことを経験させて頂きました。


 卒業論文は地域史料にも大きく関係してくる前提の部分でもある、「史料保存運動」をキーワードに掲げ、針谷先生にも細かく丁寧なご指導をいただきながら、公文書館の動向などにも着目し、「史料保存運動の分析―九州地域を中心に―」というタイトルで執筆いたしました。

 そして、2023年4月より、別府大学 大学院 文学研究科 史学・文化財学専攻 アーカイブズ学分野 博士前期課程へ進学しました。現在の研究生活を通して「地域に根付く」アーキビストになれるよう精進してまいります。

《次回》
『アーカイブズ通信』#5
「文書館とは何か?」

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