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まとめ①『アーカイブとは何か~石板からデジタル文書まで、イタリアの文書管理』(著)マリア・バルバラ・ベルディーニ (訳)湯上良 法政大学出版局 2012年

ごきげんよう。

以下の本を読んだ。

『アーカイブとは何か~石板からデジタル文書まで、イタリアの文書管理』(著)マリア・バルバラ・ベルディーニ (訳)湯上良 法政大学出版局 2012年。

本日はその情報のまとめとメモの第1弾である。

最古の記録
先史時代の人間が、居住していた洞穴の壁や岩に線を引いたり、傷をつけたりして描いた図形であり、猟の獲物・敵対するグループの存在・鎮魂の儀式の結末などの生存のための基礎情報を集団のメンバーに伝えるためのものであった。
※エリオ・ロドリーニ『古文書学の基礎マニュアル』2002年

ラスコーの洞窟壁画(フランス)
1万7000年前に子孫へのメッセージを委ねて、原始人が日常生活の情景を岩に描いたもので、文字の最初の形を作り出した。

文書の歴史
紀元前6000年頃、メソポタミアやエジプトのような強力に中央集権化された文明で経済活動において文書が使われるようになる。
アルファベットの誕生で様々な媒体で文書作成が始まる。その媒体とは葉・木板・金属・粘土・象牙・皮革・パピルス・羊皮紙・紙など劣化しやすい素材に書かれたため文書のほとんどが失われていった。
しかし、中東地域では天日で乾燥させた粘土板のような耐久素材に書かれた文書の大多数が今日まで残っている。
現存する古代のアーカイブズ
・パピルス(エジプト)
・ゼウス神殿起源の紀元前3世紀~4世紀の銅板に書かれた39個の文書(古代ギリシア)
・ポンペイとエルコラーノの木版(古代ローマ)
・歩兵隊文書(古代ローマ)

アーカイブズ先進国
イタリア・フランス・ドイツ・イギリス・スペイン・バチカン市国・オーストリア・ベルギー・オランダ・ポルトガル・中国・アメリカ

アーカイブの定義
・文書の作成
・建物、すなわちアーカイブが保存されている場所
・文書保存に従事する機関または事務所

アーカイブを定義した人々
カール・ツィンカーナーゲル
『アーキビストと「記録」に従事している者のためのマニュアル』(1800年)
アーカイブとは「ある国家の政府の管理のもとに置かれた、国家の特権と組織に関連した文書の体系化された集成である」とされている。

バックマン(1801年)
アーカイブとは「王家の宝であり、王朝とその尊厳、権威、利益、封土、臣民に関係した、より重要で、有益で、価値ある文書が保護・管理される」と断言している。

ハインリッヒ・アウグスト・エルハルト(1834年)
アーカイブは「本質的に完全な形で行政活動の中で形成された、歴史的な状況の証言として用いられる文書化された資料群」と規定した。

ラングロウ(1895年)
国家、県、市、公的機関、企業、個人に関わるある種の権利の保管場所であり、法的に有効な文書をアーカイブの名のもとに置くと解釈している。

エツィオ・セバスティーニ(1904年)
アーカイブは「現存している、または存在していたより広い意味での行政的な目的を持った文書の体系化された集成、したがって行政官によっても、公的機関あるいは私的機関によっても作成されうるものである。」と定義されている。

ミュラー、フェイス、フル―イン(1898年)
アーカイブとは「文書がある部局や職員のもとに留まることになり、かつその限りにおいて、部局やある職員によって公式ルートで受信・発信された書類、文書、デザイン、印刷物、領収証、送付状の総合体である。アーカイブはすべて有機的であり、私的団体の部局や職員もアーカイブを作成することが可能である。」と定義している。

エウジュニオ・カザノーヴァ『古文書学』(1928年)
アーカイブは「ある活動の遂行の間に構築された団体もしくは個人の文書の体系化され、これら団体や個人の政治的・法的・文化的目的達成のために保存された集成である。」と定義している。

ジョルジョ・チェンチェッティ(1937年)
アーカイブは「固有の目的遂行のため、または固有の職務の実行のために団体または個人によって送受信された文書の集合体
である。」と定義している。

レオポルド・サンドリ(1958年)
アーカイブは「文書によって機関または個人の実務活動が具体化され、文書が言及する団体または個人の性質と職務によって規定されたつながりによってお互いに結びついた文書の集合体である。」と定義している。

カルロ・パヴォーナ(1970年)
アーカイブは「実務目的の役割に基づいた機関における記憶の組織化を担っている。」と定義している。

エリオ・ロドリーニ(2002年)
アーカイブは「実務・行政・法務活動の文書蓄積を自然発生的に生む。したがってこれは各々の文書が他のものを条件づけられているため、オリジナルで、必然的で、決定的な結びつきによって相互にそれらの間で関連している文書の集合体であり、アーカイブ文書は大抵、実務的性質を持ち、固有で特有の必要性を満足させるために行われた様々な主体による活動に主に結びついているもの。」と定義している。
パオラ・カルッチ『国際標準記録史料記述』
① 固有の活動遂行の間、団体(国家行政官・機関・中央地方部局、公的機関、私的機関、一族、個人)によって作成もしくは、いずれにせよ獲得された文書の集合体。
② 一定の団体を扱う場合は統一的性格を持つ各文書の集合体であったり、納入または預け入れを実行した団体における様々な理由が一致するならば、様々な団体によって作成された文書の集合体であったり、集中的に集められたアーカイブズにおいて、散逸、合併、再整理によってもたらされた文書の集合体や混在型または集成型である類のもの。

今回も前回同様にアーカイブズに関するまとめとメモになった。
普段、読んでいる本であったり、大学で勉強している部分でもあるため、ついつい熱が入ってしまう。

本日も最後までお付き合い頂き、誠にありがとう。

ごきげんよう。

さようなら。

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