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[ちょっとしたこと] サブスクリプション

この半年くらい、サブスクリプションで音楽サービスを利用している。とかくそれまでは、スマートフォンをコンピュータにつないで、インポートしてある曲を転送。結構面倒で、それが嫌で使用するようになった。CDを買わなくなった、買ってもコンピュータにインポートするのも面倒。置き場所もないなど、小さな悩みの積み重ねで、ようやく利用し始めました。

月額料金を支払い、電車の中などで、聴きたい曲でプレイリストを作ったりして、当初はとても楽しかった。
そして、今。
なんだか同じ曲をぐるぐると聴き回していることに気づく。バックグラウンドにある幾千万の曲を探すことを諦めたのだ。
というより、結局のところ聴き続けたい曲なんて、そうたいしてないということなのだ。
でも、それすらサービスの枠中、この環境を作り上げたのは自分なので、捨て去るのがこわい。
だから、また同じように、同じプレイリストを聴き回す。
確かに、ちょっと気になる曲や、ふとした瞬間に聴きたくなる曲をすぐに探し当てて、フル視聴できることは利点である。むしろそれが最大利点なのだろう。
その権利を手元に置き続けるための支払いなのだと思うと、車も乗らないのに、免許証を維持するのに似ているなと思った。
いや、もっとあるな。
社会保険や国民健康保険なんかも、そういう意味では似ている(同じ土俵で話せるものではないけれど……)。

サブスクリプションの利点は、そう考えると定額を支払って、自分に見合ったサービスを利用すること。
それは、企業からしたら顧客に飽きられないように努力しないと、離れていくリスクがあるわけで、常に新しいサービスを提供しなくちゃならない。使う僕らもそれを見なくちゃ(監視ともいえる)損をする。
保険(国民皆保険ね)だって、自分の怪我や病気にあった病院を探さないと、体を守れないし、安心して治したいから、いい病院を探す。そして、その権利がある。だから保険料を支払っている。

で、結局のところ、どちらも自分の判断が重要になるわけで、サービス提供者と利用者の間にある「信頼」が大事になるのだなと思う。これまでは、なんでも「買い切り」であって、購入後は最初の一定期間をのぞいて、自己責任だったわけです。
それが、「支払い続ける」側と「提供し続ける」側が、共存し続ける。
なんとも、『人』 という字みたいな関係になってますね。

「定額うんちゃら」といったサービスは、別段今に流行り出したものでもないけれど、身近なものがそういう形態になるとは、ちょっと前まで思ってもみなかった(電子書籍も然り)し、当初は利用したいとも思っていなかったが、生活インフラの変化やコンピュータやスマートフォンの進化は、そんな僕ですら利用に踏み切らせるほど、使いやすくなったのだとも考えられる。最近じゃ車だったり、服だったり、しまいにゃお見合いだってサブスク時代だとかいってますし……。ちなみにわが家は、音楽、映像くらいなもんしか利用しておりません。

もう少し時間が経てば、自分で買い切るものなんて、ほぼほぼなくなるんでしょうね。
ただこれだけがすべてでもないかな。
音楽で言えば、やはり現物がよいときもあります。特にレコードなんかは、よくプレーヤーでかけてその時の音質を楽しんだり、ジャケットを並べてインテリアにしたり、付加価値が多かった。愛着がわく「モノ」になるには、結局のところ人の手が触れてるかどうかも、忘れちゃならねえなとも思うのです。
わが家の棚に、もうかれこれ10年以上飾ってあるThe Clashの「ロンドンコーリング」のレコード。これは、もうわが家には欠かせないものなんです。ちょっと日に焼けて、ピンクと緑の文字が褪せてる感じ。これは、時と人が作り出した芸術品です。とはいっても、レコードを流す機会はもうなくて、結局サブスクで曲は聴いている始末ですが、音楽とジャケットは優劣なく同等の価値なわけですね。それを手にした時の高揚感は、いつまでもこの手に残っています。それをスマートフォンの画面には求められない。
そういう価値を忘れたくないな。
でも日常だけで言えば、サブスクも捨てがたい。
だから、その価値のバランスをね。バランスを企業側には求めたいですね。

手軽すぎて、浅はかにならないように気をつけよ。
こういうサービスは「にわか」に陥りやすいと思うから。

この曲を3000回聴いたら、その曲のアルバムの紙ジャケくれるサービスとかあったら、欲しくなりません? そしてその頃には、かなりヘビーなファンになってますよ、そのアーティストの。
そんな、希望、欲求が、なんだかふと湧いて出た。
サービスは向上し、いずれまた新たな問題を孕んで、そしてまた向上するのだ。
だからここにこう書き記すことは、決してムダではないと、何かの一役になるのだと言い聞かせるのだ。

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